池内恵の中東通信
池内恵(いけうちさとし 東京大学教授)が、中東情勢とイスラーム教やその思想について日々少しずつ解説します。
ロシアによるシリア内戦への直接的な軍事介入が9月30日に公然と開始されたことで、シリア内戦への国際的な関心は高まった。それまでは半ば「放置」されてきたシリア内戦が、中東の地域紛争の枠を超えて、米露間対立の焦点となったかのような、あたかもかつての冷戦状況が再現…
9月30日からシリア軍事介入を公然と開始したロシアだが、これまで否定してきた地上軍も派遣する意志がある兆候が見えてきた。Kremlin Says Russian ‘Volunteer’ Forces Will Fight in Syria, The New York Times, 5 October 2015.ロシア下院国防委員会委員長のコモエドフ提…
ロシアのシリア空爆が2日目に入っている。初日はラタキア付近やホムス近郊タルビーサの自由シリア軍系の勢力範囲を、2日目はイドリブの「アフラール・シャーム(シリア自由派)」の勢力範囲を攻撃するなど、安定して「イスラーム国」以外の反アサド勢力を狙っている。もっと…
ロシアのシリア軍事介入に関しては、米国や欧州の外交・安全保障の論客たちの間には、(1)欧米の政府の公式見解・原則論のように、アサド政権の支援をめぐって異議を申し立てる議論と、(2)むしろ積極的にロシアの解決策に協調する政策転換を主張する議論があるが、ロシア…
9月30日、ロシアがシリア空爆を開始した。ロシアはシリア軍に兵器を供給し、教育訓練を施してきた。最近は未確認情報ではロシア軍人が戦闘に参加しているとも言われてきたが、表向きは否定してきた。それが急激な軍事支援増強に続いて、初めて公然と直接軍事介入に踏み切った…
国連総会でのプーチン大統領の演説を聞いてみた。9月28日12時半ごろ、日本時間では29日午前1時30分に終わった。英訳を通じて聞いただけだが、抑えたトーンのものだったように感じられる。予想通り、アサド政権への明確な支持表明と、「イスラーム国」と他の反政府勢力をまと…
プーチン大統領の演説を聞きながら、主要紙の28日付の報道の見出しを見るだけでも、国連総会で焦点となっている議題と、場の雰囲気がわかる。“U.N. General Assembly Opens With Focus on Syria, ISIS and Refugees,” The New York Times, September 28, 2015.シリア・「イ…
国連総会で最も注目される、各国首脳による一般討論演説の初日が始まった。10月3日まで続く一般討論演説の順番は国連のウェブサイトに掲示されており、ライブで演説を視聴することもできる。オバマ大統領の演説を少し聞き、その後、中国、ヨルダンのフセイン国王と続いて、そ…
リビア内戦の主要二大勢力の間で、和平と挙国一致内閣の合意が近い、と仲介に当たる国連特使ベルナルディーノ・レオン(Bernardino Leon)氏が、9月13日に、楽観的な見解を示している。Rival Libyan groups agree to share power, Boston Globe (AP), SEptember 14, 2015.…
8月17日に起きた、タイ・バンコクで20人を殺害し120名あまりを負傷させたエラワン廟爆破事件について、タイの警察Somyot Poompanmoung氏が、事件と中国のウイグル人をトルコに密航させるネットワークとの関連を初めて公に指摘した。Thai police chief links Bangkok blast to…
ロシアの対シリア軍事支援の意図が憶測の的である。地対空ミサイルSA-22の配備が先月末から表面化しているが、「イスラーム国」も他の反体制勢力も空軍戦力がないため、ロシアの軍事支援は「イスラーム国」対策だ、とするロシアの説明は筋が通っていない。Russia to U.S.: tal…
イエメン内戦で、国外逃亡中のハーディー大統領の復権を求めるサウジ主導の介入が、どこまでの連合の広がりや現地での実効性を伴うかが注目される。今後の中東の安全保障体制の行方を方向づける、あるいは試金石となる事象である。サウジ主導のGCC諸国が、イエメン現地の武装…
ロシアのシリア・アサド政権軍事支援が直接軍事介入と化しているという情報が浮上するのに対して、態度を硬化させた米国は、ロシアの航空部隊のギリシア上空通過の拒否をギリシアに要請した。“U.S. asks Greece to deny Russian flights to Syria,” Reuters, September 7, 2…
西欧がシリア難民の到着で沸き、動揺するのを尻目に、シリア情勢そのもの、特に関与する超大国間の関係に動きが出ている。ロシアがシリアのアサド政権への軍事支援を強化していたことが判明し、ロシアと米国の間で緊張が高まっている。“Russian Moves in Syria Pose Concerns…
シリア難民のドイツへの大量到着で、ある種のカタルシスが西欧には湧いているが、やがて深刻な現実に直面せざるを得ない。「最底辺の10億人」のポール・コリアーが7月に書いていたことを改めて読んでみる。Paul Collier, “Beyond The Boat People: Europe’s Moral Duties T…
イエメン内戦にサウジ主導の連合軍が介入し、南部アデンをフーシー派から奪還して首都サヌアに向けて北上しているが、制圧後のアデン中心部に「アラビア半島のアル=カーイダ(AQAP)」の勢力範囲ができているという。Yemen officials say al-Qaida seizes key areas of Aden,…
こんな記事が出ていた。PKK urges US to mediate in its war with Turkey and admits to secret talks with Washington, The Telegraph, 17 August, 2015.トルコのクルド反政府組織PKKは、米国と仲介者(おそらくシリアのクルド組織・民主連合党=PYD)を通じて間接的に対話し…
気になる情報である。サウジでMERS(中東呼吸器症候群)の感染者が増えているという。リヤードのアブドルアズィーズ国王医療都市の病院で、感染者46名を出したため緊急病棟が一時閉鎖されたという。厚生省は8月9日から15日にかけて感染者21名と発表している。怖いのが、イスラ…
トルコでは6月7日の総選挙の結果を受けて進められてきた連立協議が不調で、11月の再選挙が濃厚との見通しを先日伝えた。その見通しは変わっておらず、8月23日の連立組閣期限を越えれば、エルドアン大統領は再選挙を宣言しそうだ。しかし再選挙をやるとむしろクルド系政党のHDP…
トルコはクルド反政府武装勢力PKKとの和平プロセスが崩壊し、紛争が激化し南東部各地や国境を越えたイラク側で、小規模の戦闘や空爆が続いている。それと直接の関係はまだ不明だが、8月19日、首都イスタンブールの、最人気の観光地の一つであるドルマバフチェ宮殿を2名の武…
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