対中関係“温め直し”に走る欧州
Foresight World Watcher's 8 Tips
トランプ米大統領が執着を見せるグリーンランド「領有」問題は、NATO(北大西洋条約機構)との間に一定の調整がついたことで、足元の危機は回避されました。しかし、ここでも露わだった米欧の亀裂は、「もはや大西洋同盟は死んだ」との議論を呼んでいます。
その傍らで、昨秋以降、欧州を中心に首脳の訪中が続いています。この欧州の対中関係“温め直し”が米国を頼れない世界への備えであることは、もはや自明と言うべきでしょうか。今週は、経済と安全保障の自律化を図る欧州の動きを中心にピックアップしました。
これと関連して目を引いたのが、米戦略国際問題研究所(CSIS)のビクター・チャ氏が発表した論考でした。詳しくは後段で触れますが、韓国は中国の経済的威圧に対抗するために、日本、米国などG7諸国および地域のパートナー諸国と連携して、経済の集団防衛体制を構築すべきだという議論です。NATO第5条と同様に、「一国への攻撃は全員に対する攻撃」とみなし、自動的に報復措置を取る。チャ氏の論考によれば、日米韓が中国と貿易する品目は327品目あり、その価値は231億9000万ドルを超え、中国はこれらの品目に70%以上依存しているとのこと。
こうした“経済版NATO”の構想は、たとえばリズ・トラス英外相(当時)の2022年4月のスピーチにあるように、多くはロシアと中国が攻撃者として想定されます。チャ氏の論考も前提にしているのは中国抑止であり、米国はこの取り組みを主導すべきだとしています。ただ、前述のグリーンランド問題では、取得に反対する欧州8カ国に対してトランプ大統領が打ち出した追加関税の方針に対し、欧州側にも「反威圧措置(ACI)」による報復案が浮上しました。経済的威圧を武器にしたパワーポリティクスにおいては、「攻撃者としてのアメリカ」はすでに現実の存在というべきなのかもしれません。
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Starmer's China trip thaws relations with Beijing but spurs criticism at home【George Parker, David Sheppard, Joe Leahy/Financial Times/1月31日付】
「キア・スターマー氏は土曜[1月30日]、4日間の中国訪問を終えた。ドナルド・トランプ氏からは北京との「危険な」関係について攻撃され、右翼紙からは「サー・コウトウ[「kowtow」は中国の叩頭の礼に由来する英語で「卑屈な追従」の意]」と揶揄され、野党からは、おべっか使いの成果はほとんどなかったと非難された」
「スターマーは譲らなかった。中国との関係修復は間違いなく国益にかなうと唱えた。/『中国との関わりこそが、英国企業の成長を確保し、国内の良質な雇用を支え、国家安全保障を守る道だ』と彼は述べ、北京との外交的『氷河期を終わらせることが有権者の生活に直接的な影響を与えると主張した」
スターマー首相の訪中が英国内でどのように受け止められたかについて、英「フィナンシャル・タイムズ(FT)」紙は「関係改善につながったが国内では批判を生み出したスターマー訪中」(1月31日付)で、このように報じている(筆者は政治担当エディターのジョージ・パーカー、ホワイトホール担当エディター代理のデビッド・シェパート、北京支局長のジョー・リーヒー)。
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