ポイント・アルファ
ポイント・アルファ (33)

人は「地上の太陽」を手にするか 核融合発電の現在地――最前線のプレイヤーたち|江尻晶・東京大学大学院新領域創成科学研究科教授(3)

執筆者:関瑶子 2026年3月18日
タグ: 日本 脱炭素
35カ国が参加する世界最大の国際協力プロジェクト「ITER(イーター)」は、核融合反応で発電に必要なエネルギーを生み出せるかどうかの実証を目指している。一方で、スケジュールの遅延が指摘され、各国や民間企業は独自路線も加速中だ。英国のSTEP、中国のBESTなど各国の国家プロジェクト、日本のFASTプロジェクトや米国のスタートアップは開発をどう進めているのか。(聞き手:関瑶子)

 長野光と関瑶子のビデオクリエイター・ユニットが、現代のキーワードを掘り下げるYouTubeチャンネル「Point Alpha」。今回は、核融合発電の国際プロジェクトや各国のプロジェクト、スタートアップそれぞれの役割について、東京大学大学院新領域創成科学研究科教授の江尻晶氏に話を聞いた。 ※主な発言を抜粋・編集してあります。

ITERの中止は考えにくい

——核融合発電の分野では、国際協力プロジェクトITERが進行していると聞きます。

「ITERは、EU(欧州連合)、米国、インド、中国、韓国、ロシア、日本の7極、計35カ国が参加する、世界最大規模の核融合実験プロジェクトです。核融合反応によって、発電に必要なレベルのエネルギーを実際に生み出せるかどうかを実証することを目的としています」

「名称はプロジェクト名であると同時に、核融合炉そのものも指します。当初は、International Thermonuclear Experimental Reactor(国際熱核融合実験炉)の略語とされていましたが、現在は、公式にはラテン語のiter(道)に由来するとされています」

「ITERはあくまでも実験装置です。学術的な核融合研究を行うとともに、核融合反応を起こし、ブランケットと呼ばれる部品を用いてエネルギーを取り出すこと、三重水素を生成することなど、将来の発電炉に不可欠な技術要素を検証する役割を担っています」

「非常に高い性能が望める実験装置であり、多くの研究者が長い時間をかけて準備をしてきました」

——一方で、スケジュールの遅延も報じられています。

カテゴリ: 環境・エネルギー
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執筆者プロフィール
関瑶子(せきようこ) ライター・ビデオクリエイター 早稲田大学大学院創造理工学研究科修士課程修了。素材メーカーの研究開発部門・営業企画部門、市場調査会社、外資系コンサルティング会社を経て独立。You Tubeチャンネル「著者が語る」の運営に参画中。
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