ポイント・アルファ
ポイント・アルファ (34)

人は「地上の太陽」を手にするか 核融合発電の現在地――実現・普及後の「世界像」|江尻晶・東京大学大学院新領域創成科学研究科教授(4)

執筆者:関瑶子 2026年3月25日
タグ: 日本 脱炭素
核融合発電はエネルギー資源の偏在問題を解消する力を持つ。しかし、主要技術・部品のサプライチェーンを考えれば、半導体のように特定の国や地域にチョークポイントが集中する可能性も想定されるべきだろう。日本は核融合発電ビジネスにおいて、豊富な人材と超電導コイルなど中核部品や関連装置の開発・設計に優位性を示してきた。これを生かした国家戦略作りが求められる。(聞き手:関瑶子)

 長野光と関瑶子のビデオクリエイター・ユニットが、現代のキーワードを掘り下げるYouTubeチャンネル「Point Alpha」。今回は、日本の優位性、核融合発電が実現・普及することによって変わる世界像について、東京大学大学院新領域創成科学研究科教授の江尻晶氏に話を聞いた。 ※主な発言を抜粋・編集してあります。

日本の強みは「人材」と「中核部品・関連装置の設計開発」

——核融合発電産業における日本のプレゼンスをどう見ていますか。

「まず、長年にわたり核融合研究に携わってきた研究者が多く、後進の育成も含め、人材が豊かであることが強みとして挙げられます。これは、一朝一夕に築けるものではありません」

「加えて、国内メーカーは世界各国の核融合プロジェクトやスタートアップに向けて、核融合装置の部品を供給してきました」

「国際協力プロジェクトであるITER(イーター)では、参加国が部品を分担して供給する体制が取られていますが、その中でも日本は、比較的中核的な部品を担当してきた実績があります」

「たとえば、ITERの超電導コイルを手掛けたのは、三菱重工業と三菱電機です。真空容器や関連装置の設計・開発では、日立製作所や東芝などにも実績があります」

「そうした点から、現時点で日本は核融合発電産業において比較的、良いポジションについていると言えるでしょう。ただし、昨今、中国が非常に速いペースで研究開発を進めており、油断すれば優位性が揺らぐ可能性もあります」

「今後は、研究と産業の両面で、着実に足場を固めていくことが重要になるでしょう」

カテゴリ: 環境・エネルギー
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
関瑶子(せきようこ) ライター・ビデオクリエイター 早稲田大学大学院創造理工学研究科修士課程修了。素材メーカーの研究開発部門・営業企画部門、市場調査会社、外資系コンサルティング会社を経て独立。You Tubeチャンネル「著者が語る」の運営に参画中。
新潮Xへの統合について
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top