池内恵の中東通信
池内恵(いけうちさとし 東京大学教授)が、中東情勢とイスラーム教やその思想について日々少しずつ解説します。
11月の再選挙の公算が高まってきたトルコだが、6月7日の総選挙で単独過半数を失った与党AKPの支持率が上昇していることもその背景にある。トルコの世論調査会社MAKが8月4−8日にかけて行った調査によれば、今再選挙を行えば単独過半数を取り戻しそうな勢いだという。先週の…
トルコで8月13日、与党公正発展党(AKP)と野党第1党共和人民党(CHP)の連立交渉が不調に終わり、やり直し再選挙が行われる公算が大になってきた。Coalition talks between AKP and CHP fail, elections 'highly likely', Hurriyet Daily News (Reuters), August 13, 2015.T…
重要な論文の詰めの作業で頭を使い切っているので、中東通信が途絶えていました。辛うじて英語記事のリツイートだけは@chutoislamで行っています。お急ぎの方はそちらへ。論文から頭を休めるひとときにでも、ここ1週間の目立った動きを簡単にまとめる予定です。
8月6日のサウジアラビア南部アスィール州アブハーでの、緊急特殊部隊の拠点にあるモスクへの自爆テロで、「イスラーム国ヒジャーズ州」が犯行声明を出した。「イスラーム国」は各地に「州」を設定したと宣言し、それぞれの地域で呼応する集団を扇動している。アラビア半島の…
速報。8月6日午後、サウジアラビア最南部のイエメン国境近くにあるアスィール州の州都アブハーで、「特殊緊急部隊」のモスクに自爆テロが行われ、13人(15人とする報道も)が死亡したという。【追記:リンクの臨時ニュースは随時更新され、死者が15人、「イスラーム国」…
米国オバマ大統領が8月5日に、ワシントンのアメリカン大学で行った演説の全てを使って、イラン核開発交渉の合意を擁護した。合意内容の擁護だけでなく、国際的な反対や、そしてなによりも、米議会に対する、包括的な反論の演説となっている。合意を議会が承認した時と否決し…
シリア内戦の結末は、結局シリア分割に至るしかないのかな、という記事。Syria approaching de facto partition amid Assad military setbacks, The Guardian, 4 August 2015.以前から言われていたことではあるが、アサド政権が全土に支配を及ぼす軍事力を欠いていることをア…
米国はシリア空爆の目的を拡大して、トルコが提唱するシリア北部の安全地帯へのアサド政権の攻撃を阻止するためにも空軍力を用いる方針に転じたと報じられている。匿名の米高官の発言を、ウォール・ストリート・ジャーナルやロイターが伝えている。U.S. to defend Syrian rebe…
8月2日早朝、トルコ南東部のアグリで爆発物を積んだトラックによる自爆テロが行われ、兵士少なくとも2人が死亡、24人が負傷。クルド反政府武装組織PKKによる犯行とみられている。Soldiers killed in suicide blast in eastern Turkey, al-Jazeera English, 2 August 2015.…
ターリバーンのオマル師の死亡が発覚し、7月30日にはターリバーン指導部がマンスール師を新たな指導者に選出したと発表したが、選出手続きに疑義も出て、不透明感が出ている。Taliban leaders dispute appointment of Mullah Mansoor, al-Jazeera English, 31 July 2015.「ア…
ターリバーンのオマル師の死(2013年だが)の表面化で、パキスタン・アフガニスタン政府と立ち上げを試みてきた和平交渉の行方が気になる。とりあえず交渉は一時中断を余儀なくされるようだ。Afghanistan peace talks on hold amid Taliban turmoil, 31 July 2015.現地での交…
ターリバーンが、オマル師の死を認め、アフタル・マンスール師(Mullah Akhtar Mansoor)を新たな指導者に選出したと発表した。Taliban elects new leader after Mullah Omar's death, al-Jazeera English, 30 July 2015.オマル師の死亡の日付は2013年4月23日であった…
29日に、アフガニスタン政府も、2013年にパキスタンでオマル師が死亡していたという情報を確認。ターリバーンに、和平交渉への参加を呼びかけている。Afghan government says Mullah Omar dead, al-Jazeera English, 29 Jul 2015.しかしターリバーン側は否定している。なにし…
28・29日にも大規模にイラク北部およびトルコ南東部のPKK拠点への攻撃を続けるトルコだが、世俗主義派(CHP)や左派と合流したクルド勢力(HDP)からは、内政上の思惑で対立に踏み切ったのではという批判が出ている。予想できる批判である。ロイターは最新の軍事情勢とともに…
ターリバーンのオマル師死亡説について、BBCは速報を出した後に、肯定否定説を取り混ぜた続報を流している。Mr Seddiqi, the spokesman for Afghanistan's National Directorate of Security, told the Associated Press agency that Mullah Omar died in a hospital in the P…
ドイツ外務省は、トルコ・イスタンブールの地下鉄で、クルド反政府武装勢力に関連するテロが生じる危険性を警告。Germany warns of attacks on Istanbul's public transport, al-Jazeera English, 29 Jul 2015.トルコが24日以来、イラク北部やトルコ国内のPKK拠点への軍事行動…
ここ数日流れている情報。ターリバーンの指導者ムッラー・オマル(オマル師)が、パキスタンで2−3年前に死亡していたとする報道。アフガニスタン政府も29日、公式に確認作業に入ったと認めた。米側は確認できないとしている。ターリバーン元幹部の話として、結核で死亡した…
米国ケリー国務長官の来週の歴訪日程が発表された。Secretary Kerry Travel to Egypt, Qatar, Singapore, Malaysia, and Vietnam, Press Statement, John Kirby, Department Spokesperson, Washington, DC, July 27, 2015.エジプト・カイロ(8月2日):サーミフ・シュ…
米国オバマ政権のイラン核開発交渉妥結に反発するイスラエル・ネタニヤフ政権に対して、予想されていた見返りの切り札。米国の重大な国家機密をイスラエルに漏らしたとして終身刑になっていたジョナサン・ポラードが11月に仮釈放されると決まったそうです。米国がイスラエル…
バーレーンでテロがあったスィトラ村はシーア派が多く住む。バーレーンは、2011年の「アラブの春」が波及したデモを、イランに支援されたシーア派の反政府運動ととらえて弾圧した。その後も、イランからの武器支援など、反バーレーン王政の工作が行われている、と敵対姿勢を強…
「フォーサイト」は、月額800円のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。
フォーサイト会員の方はここからログイン
- 24時間
- 1週間
- f
-
1
欧州航空産業編[中]:防衛「脱・米国依存」の象徴「FCAS」に崩壊危機
-
2
駐北朝鮮ロシア大使の急逝で金正恩が異例の弔問(2025年12月7日~12月13日)
- 3 2026年を占うキーワードは株式市場のリバランス、米中関係、そして中間選挙|ジャーナリストの滝田洋一さんに聞く
-
4
ワーナー買収戦「トランプ家、エリソン家、中東マネー」の胡乱な煌めき
-
5
はたして少年A=酒鬼薔薇聖斗は、更生しているのか
-
6
【再掲】トランプ「米国本位」関税が狙う「スミソニアン2.0」の大調整
-
7
トランプ政権「西半球覇権主義」に覗くルビオ国務長官の「ネオコン性」――ベネズエラ攻撃なら、その次はキューバ?
-
8
「山崎製パン」創業家の闇――「ワンマン社長」次男の「副社長」はなぜ非業の死を遂げたか
- 9 「殺すぞ」「金持ってこい」――不祥事続く東大医学部に必要なのは、ごもっともな「ガバナンス論」などではない
-
10
イヌの姿が多様化したのは、少なくとも1万1000年前頃だった
-
廃墟のヨーロッパ
¥2,860(税込) -
北方領土を知るための63章
¥2,640(税込) -
ウクライナ企業の死闘 (産経セレクト S 039)
¥1,210(税込) -
地政学理論で読む多極化する世界:トランプとBRICSの挑戦
¥1,870(税込) -
誰が日本を降伏させたか 原爆投下、ソ連参戦、そして聖断 (PHP新書)
¥1,100(税込) -
農業ビジネス
¥1,848(税込) -
古典に学ぶ現代世界 (日経プレミアシリーズ)
¥1,210(税込) -
ルペンと極右ポピュリズムの時代:〈ヤヌス〉の二つの顔
¥2,750(税込) -
ウンコノミクス (インターナショナル新書)
¥1,045(税込)