池内恵の中東通信
池内恵(いけうちさとし 東京大学教授)が、中東情勢とイスラーム教やその思想について日々少しずつ解説します。
昨年から今年にかけて、パリとブリュッセルで「イスラーム国」やアル=カーイダに共鳴したテロが続いた。なぜ西欧の若者の一部が過激化するのか。その原因をめぐってフランスで論争が起きている。 論争の当事者は、フランスの現代イスラーム研究の両巨頭と言えるジル・ケペル…
百年前の1916年の5月16日に、サイクス=ピコ協定が結ばれた。シリアやイラクやイスラエル・パレスチナなど、中東の現在の諸国家を形作る基礎となった、当時の列強の英・仏による合意である。これにはロシアやイタリアなども同意しており、それぞれに当時の中東を支配していた…
アル=カーイダの最高指導者アイマン・ザワーヒリーの音声メッセージがインターネット上で5月8日に確認された。今回のメッセージはシリア内戦に関するもので、現地のイスラーム主義系の諸勢力に団結を呼びかけている。"Al Qaeda chief tells jihadist fighters in Syria: Unit…
4月10日の未明、日付が変わってすぐに、「『チラン海峡』に架ける橋:サウジ・エジプト・イスラエルの地政学」を「中東の部屋」欄にアップして安心して眠りについたのだが、中東情勢は油断ならない。特に時差が曲者である。日本とエジプトの間の時差は7時間あるのだが、現地の…
「中東通信」の更新がひと月ほど滞ってしまった。実は何度か中東通信向けに記事を書いたのだが、そのたびに、短信で海外メディアのニュースを転送・解説するという趣旨に合わないほどの分量を書いてしまって、「中東の部屋」に移すことになってしまった(「『チラン海峡』に架…
エジプトのイスラーム主義過激派・ジハード主義の古参・大物が、シリア内戦で米国の空爆で死亡していたようである。エジプトの「イスラーム集団」をかつて率いた時期がある、ジハード主義の有力活動家リファーイー・アハマド・ターハーが、4月5日にシリアのイドリブで、米国…
ブリュッセルの空港でのテロの実行犯の3名のうちの一人と見られる逃亡中の犯人の名前が、ナジュム・ラアシュラーウィー(Najim Laachraoui; アラビア語綴り・アラビア語読みではおそらくNajm al-Ashrawi ナジュム・アル・アシュラーウィーだろう)であるとベルギーの新聞で…
今回もまた「兄弟」が犯行グループに含まれているようだ。3月22日のブリュッセルの連続テロで、空港と地下鉄駅で自爆した実行犯のうち2名は兄弟であるとベルギーの捜査当局が明かしている。二人はハーリド・エル・バクラーウィーとブラヒム(イブラーヒーム)・エル・バクラ…
ブリュッセルの空港と地下鉄駅での連続テロでは、「イスラーム国」系のアウマーク通信が犯行声明を出したのに続いて、「イスラーム国」のロゴの入った通常の形式での犯行声明が、アラビア語・フランス語・英語でソーシャル・メディア上に流され、アラビア語の声明を読み上げる…
ブリュッセルで3月22日朝に起こった、空港と地下鉄駅での連続自爆テロについて、「イスラーム国」の宣伝部隊とみられるアウマーク通信が、そのウェブサイトで犯行声明を出した。声明はまず英語版が発表され、次いでアラビア語版が発表された。内容はほとんど同一であり、二段…
シリア北部のクルド自治区宣言への動きについての主要な報道をまとめておこう。まず、イラク北部のクルド人自治区のメディア『ルダウ』が、シリア北部のクルド人勢力が掌握し「西クルディスターン(Rojava)」と主張する地域を連邦・自治区化するための会議が近くハサケ県ルメ…
ついに来たか、という感じである。"Syrian Kurds set to announce federal system in northern Syria," Reuters, March 16, 2016.シリア北部で勢力範囲を広げるクルド人勢力が、シリアの連邦化を主張し、その中でクルド人が主導する北部の三つの領域を合わせて自治領域とする…
トルコ南東部ディヤルバクルを拠点とする記者によるレポートが不吉である。Mahmut Bozarslan, "With spread of IS-like tactics, urban warfare in Turkey grows bloodier," Al-Monitor, March 7, 2016.これはトルコのクルド版の「帰還兵問題」と言える。「イスラーム国」に周…
トルコから夜陰に乗じて小舟に乗ってギリシアの島に渡りEU域内に到達しようとする難民・移民の波がEU−トルコ交渉の最大の課題となっている。トルコから見ると、EUは一方で「難民を流出させないでくれ」と頼んでくるのだが、他方でしばしばトルコの難民の扱いについては人権上…
シリア内戦をめぐっては、米国オバマ政権の「やる気のなさ」が、ロシア・プーチン政権の本気度や戦術的卓越性と対比して際立つ。そんなエピソードがまた一つ報じられた。2月22日の米露合意に基づき、2月27日から2週間を目標とした停戦(cessation of hostilities)が発効して…
シリア内戦の混沌は極まっている。1月に開始されるとされていたジュネーブの和平会議は1月末・2月初頭に開催がずれ込んだ挙句、アサド政権が全力で攻撃と包囲を続ける中で対話が成り立つはずもなく、政権側と反政府側の直接対話に至らずに終わり、ミュンヘン安全保障会議で…
ロシアがアルメニアへの軍事的なテコ入れを相次いで誇示して、トルコへの圧迫を強めている。ロシアは2月18日、アルメニアへの防空システムなど2億ドル相当の武器売却取引の詳細を発表した。2月20日にはアルメニアの首都近郊でトルコに近いエレブニ(Erebuni)空軍基地に5基…
アンカラの自爆テロで犯人について、エルドアン大統領やダウトール首相が事件後すぐに主張したシリア国籍のクルド人による犯行説と、PKK分派のTAKや、最近のトルコ治安当局高官のリークが示す、トルコ国籍のクルド人による犯行説が、真っ向から食い違っている。これによってト…
2月17日のアンカラのテロで、実行犯はトルコ国籍であることがDNA判定により分かった、とトルコの「治安当局高官」が明かしたと報じられている。"DNA report suggests Ankara bomber was Turkish: security official," Reuters, February 23, 2016.これが事実か、あるいは事実…
よりによってこのような時期に、というべきかあるいはむしろこのような時期だからこそ意図的にと読み取るべきか、受け止め方次第のニュースである。イタリア・ボローニャの検察官が、トルコのエルドアン大統領の子息ビラール・エルドアン氏に対する汚職の告発を受理し、捜査に…
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