開けてみないとわからない食べ物がある。
その最たる例はピータンだ。ピータンは、外の様子を見ただけでは、黄身がドロリンとしているか、カチカチかわからない。もちろんドロリンが理想的なのだけれど、どんなに外側をさすったり見つめたりしたところで、中の状態を察することはできない。
最初に籾殻とか泥とかが混じったような外壁を洗い流したのち、固ゆで玉子を剝く要領で殻を取り除く。すると、プルンプルンにかたまった白身(というより黒身)が現れる。ピカピカ輝いている。きれいだ。でもまだわからない。黄身(というより黒灰色身)がドロリンと柔らかい状態であることを祈りつつ、包丁で縦半分にカットする。と、その瞬間、
「ああ……」
落胆の声を発するか、
「お、お?」
ニンマリするか、ここが運命の分かれ目である。
たいていの場合、ピータンは二個とか四個とかがワンパッケージになって売られている。一つ剝いて黄身がカチカチだったとき、残るピータンもカチカチだろうか。暗い未来が予想される。でも反対に一個がドロリンであった場合、残る玉子もだいたいドロリンであることが多い。なぜか。わからない。作る人の腕次第なのかもしれない。
だからドロリン黄身に出くわしたら、その後はいつも、そこの店の、おそらく同じ輸入業者から入手しているピータンを買えばいい……と思われる。でも、ピータンはさほど頻繁に買わない。そしてどこのスーパーでも売られているわけではない。たまたま中華食材を多く揃えている店で、「ピータンだ!」と、その遭遇に感謝して購入するのが常である。
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