「今週のトランプ」ラウンドアップ
「今週のトランプ」ラウンドアップ (14)

トランプ大統領の発言とアクション(6月12日~19日):イラン攻撃をめぐりMAGA派にも亀裂

執筆者:安田佐和子 2025年6月20日
エリア: 北米
トランプ政権の「2週間」は時間稼ぎの決まり文句との指摘もあるが……[「イランへの攻撃について今後2週間に決定を下す」との大統領声明を伝えたレビット報道官=2025年6月19日](C)EPA=時事
トランプ大統領と政権キーパーソンから飛び出した1週間分の発言を、ストリート・インサイツ代表取締役・安田佐和子氏がマーケットへの影響を中心に詳細解説。▼国防総省のパワーバランスにも変化▼イランと中国に楔を打ち込む機会にも▼「アメリカを代表する陰謀論者」が投げつけた皮肉

 

国防総省のパワーバランスにも変化

「私にとって最も誇りとなるレガシーは、『平和の担い手となり、人々をひとつにする存在』になることだ」――ドナルド・トランプ氏が1月20日、大統領就任演説で放った言葉だ。あれから約半年、トランプ氏の「平和を築く存在」=ピースメーカーとしての力量が試されている。

 イスラエルがイランを攻撃した6月13日以降、中東情勢の緊迫化がさらに進んでいる。トランプ氏は主要7カ国(G7)首脳会議を途中で退席し、帰国。6月17日には、トゥルース・ソーシャルで「無条件降伏せよ」、「イラン上空を完全に制圧した」と投稿した。米CBSは、国家安全保障会議(NSC)および作戦指令室(シチュエーション・ルーム)での会合を経て、同日中にトランプ氏がイラン攻撃計画を承認したものの、実施の最終判断は保留していると伝えた。

 翌18日にはトランプ氏自身が記者団に対し、「(イラン攻撃を)するかもしれないし、しないかもしれない」と言及した。軍事介入への明言は避けているが、その準備を進める動きは急だ。ここ数日の間に少なくとも30機もの給油機が米国内の基地から欧州に移動し、中東に展開中だった空母「カール・ビンソン」打撃群に同「ニミッツ」打撃群が合流の予定。同「ジェラルド・フォード」打撃群が東地中海に移動するとの報道もあり、空母3隻体制での中東展開も想定される。

 米国防総省内でのパワーバランスも、イラン強硬派にシフトしつつあるかのようだ。

カテゴリ: 政治 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
安田佐和子(やすださわこ) ストリート・インサイツ代表取締役、経済アナリスト 世界各国の中銀政策およびマクロ経済担当の為替ライターの経験を経て、2005年からニューヨークに拠点を移し、金融・経済の最前線、ウォール街で取材活動に従事するかたわら、自身のブログ「My Big Apple NY」で現地ならではの情報も配信。2015年に帰国、三井物産戦略研究所にて北米経済担当の研究員、双日総合研究所で米国政治経済や経済安全保障などの上級主任/研究員を経て、株式会社ストリート・インサイツを設立。その他、トレーダムにて為替アンバサダー、計量サステナビリティ学機構にて第三者委員会委員、日本貴金属マーケット協会のフェローを務める。
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