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池内恵の中東通信

池内恵(いけうちさとし 東京大学教授)が、中東情勢とイスラーム教やその思想について日々少しずつ解説します。

執筆者プロフィール
池内恵
池内恵 東京大学先端科学技術研究センター グローバルセキュリティ・宗教分野教授。1973年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程単位取得退学。日本貿易振興機構アジア経済研究所研究員、国際日本文化研究センター准教授を経て、2008年10月より東京大学先端科学技術研究センター准教授、2018年10月より現職。著書に『現代アラブの社会思想』(講談社現代新書、2002年大佛次郎論壇賞)、『イスラーム世界の論じ方』(中央公論新社、2009年サントリー学芸賞)、『イスラーム国の衝撃』(文春新書)、『【中東大混迷を解く】 サイクス=ピコ協定 百年の呪縛』 (新潮選書)、 本誌連載をまとめた『中東 危機の震源を読む』(同)などがある。個人ブログ「中東・イスラーム学の風姿花伝」(http://ikeuchisatoshi.com/)。

レクサスとオタク部屋

しばらくこの欄での「つぶやき」に間が空いてしまった。4月は研究室で2つの大型予算を受け入れてプロジェクト組織を行政的に立ち上げる作業に専念していた。1つは石油会社との産学連携、もう一つは外務省の調査研究事業の受注であり、こういった産官学での組織的な取り組みの…
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コロナ危機でネタニヤフが延命 イスラエルで挙国一致内閣が成立の見通し

3月26日、イスラエルでベンヤミン・ネタニヤフ首相と、対抗馬で「青と白」選挙連合を率いるベニー・ガンツ元参謀総長が、新型コロナウイルス蔓延による危機を背景にした大連立での組閣に合意した模様だ。3月25日に両者は3月2日の議会(クネセット)総選挙投票以来2回目の電話…
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入国制限・都市封鎖への「出口戦略」は

全世界的に、外国人の入国拒否・自国民の旅行制限と帰国者の隔離、社会的隔離、都市封鎖が進む。グローバル化が急停止している。サウジアラビアなどペルシア湾岸の産油国も次々と国境を閉じた。最初はペルシア湾対岸で感染爆発が著しいイランとの国境を閉じたのを手始めに、メ…
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イラン革命体制の高齢化した指導層は新型コロナに脆弱か

不謹慎と言われるかもしれないが、イランでの新型コロナウイルスの爆発的な広がりは、イランのイスラーム革命体制の指導中枢の最も弱い部分、すなわちその「高齢化」を直撃しているのではないか、と推測せざるを得ない。革命は往々にして「若者」によって主導される。イラン革…
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早期に米国からの入国を止めたイスラエルの「先見の明」

新型コロナウイルス問題の広がりで、ここ数日で、各国が全面的に国境を閉じる流れが定まったようだ。グローバル化を一時的に振り出しに戻すと言っていいほどの、人間の動きの制約・停止措置が全世界的に広がりそうだ。これがいつの時点で収束し、解除されるか、誰がリーダーシ…
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岩瀬昇さんの2つのフレーズ

先ほど本欄で、参議院の資源エネルギー調査会での岩瀬昇さんの参考人陳述を視聴している、と呟いておいたが、岩瀬さんが限られた時間の中で、解説に言葉を尽くしながらも、いくつかの持論を、的確にその場に届けていくのに感銘を受けた。エネルギー市場の基本性質については、…
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イランとイラクを結ぶ「命綱」の石油・ガス・電力輸出入がかろうじて続く

米国はイランからイラクへの天然ガス等のエネルギー輸出を、引き続き認める見通しだ。2月10日にイラク政府高官が報道機関に語った。米国が2018年以来、イランに課している最強度の経済制裁の肝心のところは、イランに石油を売らせないこと、イランから石油を買った企業を米国…
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参議院資源エネルギー調査会の参考人陳述を視聴してみた

「エネルギーの部屋」の岩瀬昇さんが、参議院の「資源エネルギーに関する調査会」で参考人として意見陳述を行うとのお知らせが『フォーサイト』のトップページにあったので、事後になったが、ウェブサイトを見てみると、参議院のウェブサイトからビデオで視聴ができる。何しろ…
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併合を「提案したが認めるとは言っていない」早速試されるトランプ「世紀のディール」の本気度

トランプ大統領が1月28日に発表した中東和平案、通称「世紀のディール」は、簡単に言えば、イスラエルがヨルダン川西岸の占領地に建設した入植地の大部分をイスラエルの正統な領土であると認めたものである。ネタニヤフ首相は早速、米国が認めると言ったのだから、即座に入植…
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トランプの「世紀のディール」はイスラエルの主張の丸呑み

トランプ大統領が1月28日正午、ホワイトハウスで、イスラエルのネタニヤフ首相と共に、中東和平(イスラエル・パレスチナ和平)に関するいわゆる「世紀のディール」を発表した。和平案"Peace to Prosperity: A Vision to Improve the Lives of the Palestinian and Israeli Pe…
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トルコ・イスラエルの舌戦とアラブの傍観・危惧

連載「中東 危機の震源を読む」に久しぶりに論考(中東―危機の震源を読む (96)年末年始・中東のもう1つの騒動:東地中海ガス田をめぐるトルコとイスラエルの虚実皮膜」)を寄稿した。今後は大きなテーマについてのまとまりのある論考は連載「中東 危機の震源を読む」に、日…
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サウジとイランのどちらが「普通の国」か

サウジアラビアのアーディル・ジュベイル外交担当国務相(元外相)が、1月23日にダボス会議でイランに「普通の国」になれ、と告げたことが少々話題になっている。サウジ系のメディアでは、当然のことだが「言ってやった」と囃し立てる。"Jubeir Says Restoring Ties with Iran…
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東地中海ガス田開発・パイプライン敷設の進展

年末年始の、カルロス・ゴーン逃亡事件と、ソレイマーニー司令官暗殺によって急加速した米・イラン対立の緊迫化の合間に、このような論考を走り書きしていた。池内恵「トルコのリビア内戦介入と東地中海地域のエネルギー国際政治」『中東協力センターニュース』2020年1月号、1…
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アマゾンのジェフ・ベゾスへのハッキング騒動で焦点が当たるサウジ皇太子とイスラエル製アプリ

昨年から注目してきた、サウジアラビアやイスラエルが絡んだ国際政治における、スマホ・ハッキング問題であるが、「Amazon.com」の創設者であり、『ワシントン・ポスト』のオーナーでもあるジェフ・ベゾス氏のスマートフォンを、サウジのムハンマド・ビン・サルマーン皇太子と…
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サウジ・アラムコ株は「日本国債」なのか

この欄では、元来は「有料・会員限定ツイッター」のようなものにしたかったのだが、毎度、本格的な論考に近いものを載せることになってしまい、いきおい更新頻度が下がる。今度こそつぶやきに戻していきたい。先月・昨年末からつぶやきたかったのは「サウジ・アラムコ株は『日…
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オマーンの新国王はハイサム遺産文化相に

カーブース前国王の死去が1月10日に発表されたが、11日に召集された王室会議で、前国王の従弟で、遺産文化相を務めていたハイサム・ビン・ターリク・ビン・タイムール(Asa'ad bin Tariq bin Taimur Al Sa'id)が、新国王に選出されたとの発表があった模様だ。アラブ部族の権…
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オマーンのカーブース国王の死去とその後継者

大晦日と正月に、ゴーン逃亡事件という日本が直接に関係した茶番劇と、ソレイマーニー司令官暗殺で急激に高まった米・イラン直接戦争の危機が持ち上がり、この欄で書くべきことがすでに山積みになっているが、さらに長期的に重要な出来事が矢継ぎ早に起きているので、まとめら…
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ロウハーニー大統領の最初の来日

今回のロウハーニー大統領の来日は、イランの大統領としては2000年のハータミー大統領以来19年ぶりの来日であり、ロウハーニー大統領にとっては初の来日である、ということが、日本での報道・論評では決まって取り上げられていた。ただし、大統領になる以前にはロウハーニーは…
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イラン・ロウハーニー大統領の年末来日と、安倍首相の年明けのサウジ・UAE歴訪

ロウハーニー大統領が12月20−21日に来日し、安倍晋三首相との首脳会談、拡大会合、夕食会等の盛りだくさんな日程による接遇を受けた。これについて、筆者は英語でコメントを出しているが、基本的な印象は、あくまでも日・イランの「二国間関係」に(少なくとも表向きは)限定…
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強まるトルコ=カタールの紐帯

今回の現地調査では、カタール・ドーハでの用事を終えた後、トルコのイスタンブールとアンカラを巡った。カタールで目立つのはトルコの影響力の増大である。ドーハ・フォーラムでも、総合司会がトルコの国営放送TRTワールドのキャスターであるのに始まり、エルドアン大統領の…
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