池内恵の中東通信

池内恵(いけうちさとし 東京大学教授)が、中東情勢とイスラーム教やその思想について日々少しずつ解説します。

執筆者プロフィール
池内恵
池内恵 東京大学先端科学技術研究センター、グローバルセキュリティ・宗教分野教授。1973年生れ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程単位取得退学。日本貿易振興機構アジア経済研究所研究員、国際日本文化研究センター准教授を経て、2008年10月より東京大学先端科学技術研究センター准教授、2018年10月より現職。著書に『現代アラブの社会思想』(講談社現代新書、2002年大佛次郎論壇賞)、『イスラーム世界の論じ方』(中央公論新社、2009年サントリー学芸賞)、『イスラーム国の衝撃』(文春新書)、『【中東大混迷を解く】 サイクス=ピコ協定 百年の呪縛』 (新潮選書)、 本誌連載をまとめた『中東 危機の震源を読む』などがある。個人ブログ「中東・イスラーム学の風姿花伝」(http://ikeuchisatoshi.com/)。

サウジの給付削減政策は半年で撤回

やはり、という感がある。4月23日、サウジアラビアが、公務員や大臣などへの賞与・給付を積み増すことを発表した。これは昨年9月26日に発表された、大臣の給与や公務員への賞与・給付などを削減する財政削減政策を、半年あまりでかなりの部分撤回することを意味する。原油価格…
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サウジとエジプトの和解

4月23日、エジプトのスィースィー大統領がサウジアラビアのリヤードを訪問した。空港でサルマーン国王による出迎えを受け、会談を行って、昨年の後半に疎遠になった両国関係の改善を演出した。3月29日のアラブ連盟首脳会談(アンマン)の会議の脇で行われたサルマーン・スィー…
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マティス国防長官の中東・アフリカ訪問の締めはジブチ

中東・アフリカ諸国を歴訪しているマティス国防長官は、イスラエル、エジプト、サウジアラビア、カタルに続き、今回の最後の訪問先として、4月23日にアフリカのジブチを訪れた。米国はジブチにアフリカで唯一の基地を置き、ソマリアのアッ=シャバーブ、イエメンのAQAPに対す…
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イラン大統領選挙の候補者が決定

イランで5月19日に投票が行われる大統領選挙の候補者が、4月20日に発表された。1600人を超える立候補届けの中から、6人が候補者として選出された。イランの選挙は制限された枠内での民主主義であり、監督者評議会(一般に日本では護憲評議会と呼ばれるが、専門家からは批判さ…
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シャンゼリゼの銃撃事件の犯人の身元判明

4月20日に起きたパリ・シャンゼリゼの警官襲撃で、射殺された犯人の身元が公開された。カリーム・シュルフィー(Karim Cheurfi)、39歳でフランス国籍、パリの東の郊外セーヌ・エ・マルヌ県のシェルの家族宅が捜索の対象となっている。名前からしてアルジェリアなどのマグリブ…
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パリ・シャンゼリゼでの警官射殺:グローバル・ジハードの脅威認識は大統領選挙にどう影響するか

4月20日の深夜、パリ中心部のシャンゼリゼで、警察車両付近に車を乗り付けてカラシニコフ銃で銃撃、警官一人を射殺、二人にけがを負わせる事件が起きた。「イスラーム国」に近いアゥマーク通信がいつものように犯行声明を出しているが、直接の指揮命令系統のつながりは現状で…
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PKOの理念と権力について考える

先ほど陸自南スーダンPKO撤収の件について考えていたことをメモしたのだけれども、この問題について最も参考になり、考えさせてくれたのは、国際政治学者の篠田英朗さんのブログでした。平和構築は「理念」と「制度」については多くの学者が論文を書き、発言してくれるのだけ…
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陸自南スーダン撤退は絶妙なタイミングではあった

南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に参加していた4月17日から撤収(撤退)を開始し、順次帰国している。3月10日に、突如、安倍首相が撤収を発表した時のことははっきり覚えている。かなり高いレベルでこれに関する政策に関わり、実施を指揮する立場の人たちにさえとっても…
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ロシアの「西エルサレムをイスラエルの首都に」という声明の狙いは?

「ロシアが西エルサレムをイスラエルの首都として承認?」この謎めいたニュースが、世界を駆け巡った。タイミングがいっそう謎を深めた。ロシア外務省から声明が出されたのは4月6日。4月4日に起きたとみられるシリア・ハーン・シャイフーンでのアサド政権によることが濃厚に疑…
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フィオナ・ヒルの世界観

トランプ政権の軸が、あらゆる意味で、ロシアであることは疑いを容れない。中東政策も、トランプ政権の米露関係に大きく左右される。何しろ大統領本人と、当初の最側近たち(フリン前大統領補佐官、バノン主席戦略官など)が、ことごとくといっていいほどロシアとの近すぎる関…
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トルコは国際政治の変化の先駆指標

4月16日のトルコの憲法改正国民投票について、「中東の部屋」に初期段階の分析を掲載しておいた。英語圏では主要紙・誌が、投票の前も後も、詳細に報じ、論じている。その中で英Economistが相次いで掲載してきた論評は、論点も明快で、西欧の見方を顕著に代表しているといえよ…
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ティラーソン国務長官の「株上昇」

4月6日にトランプ大統領が急転直下で実施したシリア問題をめぐって、一時米露間に火花が散ったものの、4月11−12日のティラーソン国務長官の訪露を界に、急速に沈静化した。ラブロフ外相との連日の長時間の交渉の他、会わないとされていたプーチン大統領も会談に応じた。米露…
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トランプの「オバマ・ショック」からの失地回復に「二の矢」はあるのか

4月4日早朝に行われたとみられる化学兵器の使用に対して、4月6日にトランプ大統領は電撃的な政策転換でアサド政権への空爆に踏み切ったが、基点は2013年8月31日にある。先立つ8月21日にダマスカス近郊で行われたとみられるアサド政権による化学兵器の使用に対して、オバマ大統…
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「イスラーム国」との繋がりが「あってもなくても」テロを引き起こす思想こそが脅威

3月22日のロンドン・ウェストミンスターでの乗用車による無差別轢殺・ナイフによる襲撃、4月3日のロシア・サンクトペテルブルクの地下鉄での自爆、そして4月7日のスウェーデン・ストックホルム中心部遊歩道(Drottninggatan)へのトラック突入と無差別轢殺、といったグローバ…
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ティラーソン訪露を注視する

4月11日に米ティラーソン国務長官が、予定通りに訪露する。予定ではラブロフ外相と会談する。プーチン大統領との会談は予定されていないという。4月6日の米トランプ大統領によるシリア空爆の決定・実施が、米国の対シリア政策をどの程度変えるものなのか、ロシアとの関係をど…
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英国はトランプ政権に追随しつつ中東との関係を深めるか

米国による、中東諸国の空港からの米国直行便への電子機器機内持ち込み禁止措置に、英国は即座に追随したが、しかし措置の対象となる国や航空会社にズレがあることをこの欄で記しておいた。ここで興味深いのは、英国が措置の対象にペルシア湾岸の3カ国(UAE、カタール、クウ…
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湾岸3社+トルコ航空の米国路線は過去15年で急拡大

中東諸国からの米国・英国への直行便への電子機器手荷物持ち込み禁止の措置で影響を受ける中東諸国の航空会社各社が、トランプ政権の姿勢を揶揄するような広告をSNSを中心に様々に展開し、逆境を逆手にとってマーケティング・話題作りに利用していると、アル=ジャジーラ(英…
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米国の中東諸国からの航空機へのパソコン持ち込み禁止は躍進するペルシア湾岸3社潰しか

米国が3月20日に、英国が翌21日に、中東諸国の空港を出発して米国や英国に飛来する旅客機で、スマートフォンの大きさを超えるデバイス、つまりラップトップやタブレットの機内持ち込みを禁止する措置を発表した。空港内や機内でパソコンで仕事をするのは現在の仕事の仕方とし…
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トルコはシリア北部アアザーズの自由シリア軍に市民警察部隊訓練でテコ入れ

先ほどはシリアのクルド人勢力YPGがシリア北(西)部アフリーンに関してロシアと合意し、ロシア軍部隊を招き入れる形でトルコの侵攻を抑止しようとしている点について記した。ロシア軍部隊がトルコとの間の障壁として導入されるのはアフリーン(Afrin)とアアザーズ(A'zaz: A…
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シリア北部のクルド人地域アフリーンへのロシア部隊の進駐

シリア内戦の終結に向けて様々な布石が打たれている。シリア内戦の原因というよりは「結果」の一つと言っていい「イスラーム国」については多くが報じられる。特に、「イスラーム国」が拠点としてきたシリアのラッカとイラクのモースルでの、対「イスラーム国」の掃討作戦に関…
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