池内恵の中東通信
池内恵(いけうちさとし 東京大学教授)が、中東情勢とイスラーム教やその思想について日々少しずつ解説します。
先月はひと月のうち23日も海外に出ていた。トルコ・イスタンブル、エジプト・カイロ、米ミシガン州、米テキサス州など。その前はイスタンブル経由でイスラエルのテルアビブやエルサレムに行っていた。会議に呼んでいただくこともあるが、私の場合は現地調査やなんらかの会議・…
つい先日も「フォーサイト読んでいました」と声をかけられた。「いました」と過去形なのは、月刊誌の「紙の」時代のフォーサイトを購読していただいていたからである。親子で読んでいてくださって、私の本も探して読んでいただいていたという。嬉しい限りである。ビジネスマン…
しばらくこの欄の更新をしていなかった。「フォーサイト(先見)」というこの媒体の性質を、かつての月刊誌の時代から深く受け止めている。フォーサイトへの寄稿の際には、多くが注目していない時に将来の変化の兆しを感じ取って、先立って記しておく、ということに全神経を集…
10月26日、イスラエルのネタニヤフ首相がオマーンを電撃訪問した。イスラエルとオマーンは国交がない。イスラエルはアラブ世界ではエジプトとヨルダンと国交を結んでいるのみであり、公式的には他のアラブ諸国はイスラエルを承認していない。オマーンはアラブ諸国の中で特殊な…
サウジアラビアの首都リヤードで、10月23日−25日に、ムハンマド皇太子肝煎りの「未来投資イニシアティブ」会議が開かれる。この会議は昨年10月に立ち上げられたもので、今年は第二回。ムハンマド皇太子がぶち上げた「ヴィジョン2030」を推進するに際して、内外の「応援団」を…
今夜のBS-TBS「報道1930」は、この時間帯までに帰宅できない多くの人には、視聴が難しかったかもしれない。いくつか番組内で示した論点や、言及した情報について、ここにメモしておこう。なお、ここで記すもの以外の、番組を構成した多くの論点は、この「中東通信」欄で示して…
あっという間にスタンバイ完了。番組スタッフは「中東通信」「中東の部屋」「中東 危機の震源を読む」のムハンマド皇太子(副皇太子)の記事を遡って読んで準備していました。そして『シーア派とスンニ派』も。ムハンマド皇太子をめぐる欧米の報道の問題を、NYTトマス・フリ…
あと30分ほど、直前のご連絡になってしまいましたが、BS-TBSの「報道1930」に出演し、サウジ政治の現在、特にムハンマド皇太子の過去3年余りでの台頭と、この夏に直面した苦難について解説します。イスタンブール総領事館でのハーショクジー氏の殺害事件の背景と考えられるも…
10月14日にサウジアラビア国営放送が報じた、米国の対サウジ制裁への警告とも読み取れる、異例の強い警告の声明を受けて、サウジ系の放送局・新聞社、そしてサウジ支持のSNSアカウントが、一斉に同工異曲のサウジ体制翼賛・対米威嚇の発信を行っている。その中でも特に目立つ…
ムハンマド・ビン・サルマーン皇太子については、急激に台頭した2015年ごろから、その「衝動的」な性格に外国の諜報機関から公然と疑義が呈せられていた。それを払拭するためのPR戦略が大々的に駆使されて、矢継ぎ早にムハンマド皇太子を「若き名君」「大胆な改革者」とする情…
10月2日にイスタンブール総領事館で起こったと疑われるジャマール・ハーショクジー(日本語では「カショギ」と発音されることも多い)氏殺害疑惑は、ムハンマド・ビン・サルマーン皇太子が今年4月以来の長い沈黙(時には不在)を破って、再び活発に内政外交の手腕を振るうよう…
10月2日にイスタンブールのサウジアラビア総領事館に入って以来消息を絶っているジャマール・ハーショクジー(日本語では「カショギ」と発音されることも多い)氏をめぐって、10月14日午後、サウジ国営通信は「公式の情報源」による激越な声明を発表した。声明の内容は、サウ…
先ほどロイターによるサウジアラムコのIPO断念についての報道を取り上げたが、サウジアラムコの動きやサウジのエネルギー政策の行方、それを通じたサウジの将来展望については、私としても、岩瀬昇さんの「エネルギーの部屋」欄での怒涛のような更新に、ただ目を奪われている…
ロイターが8月22日、サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコが、喧伝されていた新規株式公開(IPO)を断念し、ファイナンシャルアドバイザーの投資銀行チームを解散した、と伝えた。ロンドンやニューヨークでの国際的な公開も、国内市場の公開もいずれも計画が中止された…
ここのところ「中東通信」のアップをしばし控えて熟考していた。というのは、あまりに「フェイクニュース」まがいの情報発信が多すぎるのである。いかがわしいサイトではなく、中東諸国の主要大国や有力勢力がスポンサーになった著名メディアのニュースが、いずれも、虚偽では…
なんとなく気になる記事である。イスラエル・パレスチナの和平で最も難関の課題はエルサレム問題、特に宗教的な象徴的な意味を多く持つ東エルサレムの帰属である。ここでイスラエルは実効支配の現実を譲る気配はなく、PLOはそれに対抗する術がない。1948年から1967年まで東エ…
6月8・9日、G7サミットがカナダ東部のシャルルボワで開かれる。今回の注目点は、トランプ大統領のイラン核合意離脱や保護主義的な通商政策をめぐって、米国と、ドイツや西欧、そして英国や日本まで含めた西側先進国の「その他」との間に、どれだけ亀裂が表面化するか、だろう…
ヨルダンが、2011年に「アラブの春」が波及した時以来の規模の政治的動揺に見舞われている。5月30日に発生した、電力・燃料価格の値上げと所得税の新税導入に反対する抗議デモが、大規模化し長期化した。6月4日、アブドッラー2世国王はハーニー・ムルキー首相の辞任を要求、同…
なお、先ほどの「パーレビ国王のインド太平洋戦略」は、先日出席した日本貿易振興機構アジア経済研究所(アジ研)の研究会で聞きかじった話を元に調べてみたものである。パーレビがインド洋をオーストラリアから東南アジアまで含む世界として認識し、インドとの経済関係の緊密…
シンガポールで6月1日から3日にかけて開かれているシャングリラ対話(IISS Shangri-La Dialogue;英シンクタンクIISSが主催して毎年シンガポールのシャングリラ・ホテルで開かれ、各国首脳が安全保障問題を公開の場で議論する会議;「アジア安全保障サミット」とも称される)…
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