池内恵の中東通信
池内恵(いけうちさとし 東京大学教授)が、中東情勢とイスラーム教やその思想について日々少しずつ解説します。
米トランプ政権が近くイスラエル・パレスチナの和平案を発表するとの観測が出ている。ニッキー・ヘイリー国連大使は、2月22日、シカゴ大学の政治研究所(Institute of Politics)で開催された公開フォーラムで講演し質疑に答え、トランプ大統領の娘婿のクシュナー上級顧問・中…
本日(2月23日)の夜8時から、ニコ生「国際政治ch」に出演します。番組では、ここ『フォーサイト』で行っているようなニュース解説を行いますが、今回は途中から、2月20日に新潮新書で『イスラム教の論理』を上梓した、イスラム法研究者の飯山陽(いいやま あかり)さんと対…
昨日夜に、サウジアラビアがエア・インディアのデリー・テルアビブ便に上空通過許可を出した、とするイスラエル・ハアレツ紙の報道を紹介しておいたが、直後にサウジアラビア政府がこの報道を否定している。ハアレツの記事のタイトルも、続報を受けてタイトルが差し替えられて…
エジプトの2011年の「1月25日革命」の映像アーカイブがインターネット上に公開された。【アーカイブへのリンク】チュニジアの政権崩壊に呼応し、「アラブの春」をアラブ世界全体に広げたエジプトの革命は、携帯電話のカメラなどによって、名もない一般の当事者によって、あら…
イスラエルのハアレツ紙によれば、サウジアラビアがインドのエア・インディアが開設するデリー・テルアビブ便に、サウジアラビアの上空通過を許可したという。これまでサウジアラビアはイスラエル発着の便に上空利用を許しておらず、初めてのケースになるという。"In Historic…
イエメンの内戦は構図が錯綜しており、現地の情勢も専門家以外には分かりにくい。昨日は英王立国際問題研究所(チャタム・ハウス)の専門家によるレポートやウェブサイトでのインタラクティブな地図を紹介したが、他にも欧米のいくつかの有力シンクタンクがイエメン分析に力を…
イエメン内戦の現状に関する英王立国際問題研究所(チャタム・ハウス)の専門家による詳細なレポート。Peter Salisbury, Yemen: National Chaos, Local Order, 20 December 2017. レポートの中には詳細な地図が含まれるが、その一部の要素をインタラクティブな地図にして提供…
前のエントリでは1914年のイエメンの地図を紹介したが、その後のイエメンの南北のそれぞれの発展(および1990年代の統一と現在の分裂)について、地図で解説したウェブサイトがある。Yemen: From the Independence Day to the Houthi Insurgency, edmaps.comこのサイトでは5…
イエメンへの軍事介入におけるサウジとUAEの足並みの乱れが、南部アデンに仮の政府を置いてきたハーディー政権と南部分離派との間の衝突に至ったことを記しておいたが、サウジとUAEは今でこそGCCの中でも主要な同盟国として一体化を進めているように見えるが、歴史的にはかな…
1月28日、イエメンの南部分離派勢力が、南部の中心都市アデンの、ハーディー政権が暫定的に拠点としている政府庁舎を、軍事衝突の末、占領した。政府庁舎を奪われた側のハーディー政権のビン・ダグル首相は、これをクーデタと非難した。これはイエメン内戦の新たな展開である…
中東の部屋に掲載した論考「対中東政策が日本外交の『6本目』の柱に」へのさらなる補足。余談として、日本では「リベラル派」から「ヒトラー」とまで罵られることのある安倍晋三首相が、リベラル国際秩序を理論化した著名な国際政治学者でプリンストン大学教授のジョン・アイ…
先ほどは今国会の冒頭の外交演説を取り上げたが、こういった首相や外相の演説は、1つ1つを取れば総花的に多くの課題に触れなければならないので、個々の部分はそれほど深く掘り下げたものではなく、正直に言って興味が湧くものは少ないが、長期間にわたって趨勢を見ていくと、…
さきほど「中東の部屋」に掲載した論考で、河野外相の外交演説を取り上げた(「対中東政策が日本外交の6本目の柱に」『フォーサイト』2018年1月22日)が、演説の該当箇所をここに転載しておこう。【外務省ウェブサイトより】 5つ目として、私は、対中東政策を抜本的に強化し…
中東諸国のニュースやオピニオンを英語で解説してくれる便利なウェブサイトとしてすっかり定着したAl-Monitorが、2018年の中東の課題を展望している。中東各地で現地に密着した多くの書き手を抱えているためもあるのだろうが、列挙される課題は52もある。 "Al-Monitor's 2018…
トルコのエルドアン大統領が12月24日からアフリカ諸国(4日間でスーダン、チャド、チュニジアを廻る予定)を訪問しているが、最初の訪問地スーダンで、興味深い動きを見せた。スーダンの紅海岸の歴史的な港湾都市スワーキン(サワーキン)島の再建を、トルコが行う合意を結ん…
トランプは12月6日に署名した宣言文および演説でエルサレムを首都と認め、大使館のエルサレム移転の決意を表明したが、その直後に、1995年に議会が可決した「エルサレム大使館法」の適用を6カ月免除する大統領令にも署名している。これは「エルサレム大使館法」の規定により…
12月6日の米トランプ大統領の演説の内容は、事前に公開しておいた「中東―危機の震源を読む(94) トランプがエルサレムを首都承認した後に何が起こるか」で書いておいた通りであったため、それほど付け加えることはないが、「中東通信」欄で、あらためて演説の本文内容・構成…
米トランプ大統領は12月6日の演説でエルサレムをイスラエルの首都と認めたが、これに対しては予想された、あるいは危惧されていた反発が、随所から表明されている(例えばパレスチナ・ガザを支配するハマースによる反応)。それらが形式や表向きの意見表明なのか、具体的な対…
トランプの演説を待たずにエルサレム首都承認問題について、連載「中東 危機の震源を読む」に論考「トランプがエルサレムを首都承認した後に何が起こるか」を掲載しておいた。補足しておくと、米国東部時間6日午後1時から(日本時間7日午前3時から)行われると見られるトラン…
ワシントンDCとロンドンを駆け足で回る、世界一周の出張から戻ったところである。訪問先・調査の内容はそのまま表に出してはならないものが多いので、ここにはまだ書けないのだが、一つだけ気になったことを記しておこう。それはワシントンDCで覗いてみた北米中東学会(MESA:…
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