池内恵の中東通信

池内恵(いけうちさとし 東京大学教授)が、中東情勢とイスラーム教やその思想について日々少しずつ解説します。

執筆者プロフィール
池内恵
池内恵 東京大学先端科学技術研究センター、グローバルセキュリティ・宗教分野教授。1973年生れ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程単位取得退学。日本貿易振興機構アジア経済研究所研究員、国際日本文化研究センター准教授を経て、2008年10月より東京大学先端科学技術研究センター准教授、2018年10月より現職。著書に『現代アラブの社会思想』(講談社現代新書、2002年大佛次郎論壇賞)、『イスラーム世界の論じ方』(中央公論新社、2009年サントリー学芸賞)、『イスラーム国の衝撃』(文春新書)、『【中東大混迷を解く】 サイクス=ピコ協定 百年の呪縛』 (新潮選書)、 本誌連載をまとめた『中東 危機の震源を読む』などがある。個人ブログ「中東・イスラーム学の風姿花伝」(http://ikeuchisatoshi.com/)。

トルコは国際政治の変化の先駆指標

4月16日のトルコの憲法改正国民投票について、「中東の部屋」に初期段階の分析を掲載しておいた。英語圏では主要紙・誌が、投票の前も後も、詳細に報じ、論じている。その中で英Economistが相次いで掲載してきた論評は、論点も明快で、西欧の見方を顕著に代表しているといえよ…
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ティラーソン国務長官の「株上昇」

4月6日にトランプ大統領が急転直下で実施したシリア問題をめぐって、一時米露間に火花が散ったものの、4月11−12日のティラーソン国務長官の訪露を界に、急速に沈静化した。ラブロフ外相との連日の長時間の交渉の他、会わないとされていたプーチン大統領も会談に応じた。米露…
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トランプの「オバマ・ショック」からの失地回復に「二の矢」はあるのか

4月4日早朝に行われたとみられる化学兵器の使用に対して、4月6日にトランプ大統領は電撃的な政策転換でアサド政権への空爆に踏み切ったが、基点は2013年8月31日にある。先立つ8月21日にダマスカス近郊で行われたとみられるアサド政権による化学兵器の使用に対して、オバマ大統…
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「イスラーム国」との繋がりが「あってもなくても」テロを引き起こす思想こそが脅威

3月22日のロンドン・ウェストミンスターでの乗用車による無差別轢殺・ナイフによる襲撃、4月3日のロシア・サンクトペテルブルクの地下鉄での自爆、そして4月7日のスウェーデン・ストックホルム中心部遊歩道(Drottninggatan)へのトラック突入と無差別轢殺、といったグローバ…
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ティラーソン訪露を注視する

4月11日に米ティラーソン国務長官が、予定通りに訪露する。予定ではラブロフ外相と会談する。プーチン大統領との会談は予定されていないという。4月6日の米トランプ大統領によるシリア空爆の決定・実施が、米国の対シリア政策をどの程度変えるものなのか、ロシアとの関係をど…
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英国はトランプ政権に追随しつつ中東との関係を深めるか

米国による、中東諸国の空港からの米国直行便への電子機器機内持ち込み禁止措置に、英国は即座に追随したが、しかし措置の対象となる国や航空会社にズレがあることをこの欄で記しておいた。ここで興味深いのは、英国が措置の対象にペルシア湾岸の3カ国(UAE、カタール、クウ…
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湾岸3社+トルコ航空の米国路線は過去15年で急拡大

中東諸国からの米国・英国への直行便への電子機器手荷物持ち込み禁止の措置で影響を受ける中東諸国の航空会社各社が、トランプ政権の姿勢を揶揄するような広告をSNSを中心に様々に展開し、逆境を逆手にとってマーケティング・話題作りに利用していると、アル=ジャジーラ(英…
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米国の中東諸国からの航空機へのパソコン持ち込み禁止は躍進するペルシア湾岸3社潰しか

米国が3月20日に、英国が翌21日に、中東諸国の空港を出発して米国や英国に飛来する旅客機で、スマートフォンの大きさを超えるデバイス、つまりラップトップやタブレットの機内持ち込みを禁止する措置を発表した。空港内や機内でパソコンで仕事をするのは現在の仕事の仕方とし…
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トルコはシリア北部アアザーズの自由シリア軍に市民警察部隊訓練でテコ入れ

先ほどはシリアのクルド人勢力YPGがシリア北(西)部アフリーンに関してロシアと合意し、ロシア軍部隊を招き入れる形でトルコの侵攻を抑止しようとしている点について記した。ロシア軍部隊がトルコとの間の障壁として導入されるのはアフリーン(Afrin)とアアザーズ(A'zaz: A…
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シリア北部のクルド人地域アフリーンへのロシア部隊の進駐

シリア内戦の終結に向けて様々な布石が打たれている。シリア内戦の原因というよりは「結果」の一つと言っていい「イスラーム国」については多くが報じられる。特に、「イスラーム国」が拠点としてきたシリアのラッカとイラクのモースルでの、対「イスラーム国」の掃討作戦に関…
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シリア内戦での米露協調にワシントンの政争は影響を及ぼすか

2月末から3月初頭にシリア北部情勢が急激に展開し、トルコとクルド勢力の間に米軍とロシア・アサド政権軍が「二重の楔」のように割って入り、そこに米露トルコの3参謀総長会談が3月6日に行われることで、ある種の均衡に達しようとしている様子がある。これはトランプ政権の中…
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トルコはシリア・クルドの分裂を工作するか

先ほど、シリア北東部のクルド勢力が米国の支援、ロシアとアサド政権の黙認の下で自治に向かう可能性を記しておいたが、トルコは間接的に、別の形でシリアのクルド勢力の伸張を阻害するために撹乱工作をしてくるかもしれない、という、真偽は知れないが、ありそうな話が当然こ…
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シリア北部でトルコとクルド勢力が「二重の楔」で均衡に

米国がオバマ政権期のシリアのクルド勢力に対する政策を引き継ぎ、ラッカの「イスラーム国」掃討作戦でもYPGが主体のクルド勢力と深く連携するという見通しが立ち始めたため、トルコの干渉を抑制し、アサド政権への一定の抑止力も確保して、シリア北東部に自治区を作れる可能…
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3月10日にエルドアンがプーチンと会談予定

アスタナでの和平会議の主催、そして今月はマンビジュでのトルコ・クルド衝突への仲介などにより、シリア内戦でロシアの中東における指導力の高まりが顕著になっている中で、トルコのエルドアン大統領は9日から訪露し、3月10日にプーチン大統領と会談する見通しだ。どのような…
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3月7日のトルコ・露・米の参謀総長によるアンタルヤ会談はシリア内戦の均衡への一歩

3月7日、トルコ南部アンタルヤで、ロシア軍のゲラシモフ参謀総長と米軍のダンフォード統合参謀本部議長、トルコ軍のアカル参謀総長が会談した。シリア北部の情勢が急展開し、それぞれの支援する勢力の相互関係が定まり、均衡状態に達しようとする中でのアンタルヤ会談は、シリ…
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入国制限対象の当初「7カ国」の選定はトランプの独断ではない

1月27日の入国制限の大統領令では7カ国(イラン、イラク、リビア、ソマリア、シリア、スーダン、イエメン)、3月6日の大統領令ではそこからイラクを除いた6カ国が、テロリストの米国への侵入を防ぐという目的で、国籍保有者の入国を厳しく制限されることになったが、これは…
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入国制限の新・大統領令の主要なポイント

3月6日の米国の中東・アフリカ6カ国の国民の入国を制限する大統領令については、この欄で少しずつ、じっくりと考えていきたい。リベラル派が優勢な米国の主要メディアの論調では強く批判され、あたかもトランプ個人あるいはその側近の無知や偏見といった個人的資質の偏りに基…
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トランプ政権が新たな大統領令で中東・アフリカ6カ国からの入国を停止

米国のトランプ大統領が、3月6日に、中東・アフリカ諸国からの入国停止に関する新たな大統領令に調印した【大統領令のテキスト】。前回、1月27日に調印された、中東・アフリカ7カ国からの入国停止措置に関する大統領令(Executive Order 13769: Protecting the Nation From …
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映画「マルコムX」とネイション・オブ・イスラム

昨夜記しておいた、アカデミー賞についての論稿で、助演男優賞のマーハシャラ・アリーが「イスラーム教と初のアカデミー俳優」となったと報じられた点に触れておいたが、本当にこれまでに受賞した俳優にイスラーム教徒がいなかったかどうかについては特に調べていない。本当に…
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トランプの「君子豹変」の数々

トランプ大統領が、選挙期間中や当選後に、従来の米国の外交・安全保障政策を批判し、就任直後に自らの独自案に即座に大転換を行い、結果を短期間で出してみせる、と豪語していた課題について、かなり多くのものについては、政権発足後の混乱の中でトランプ大統領自身の発言が…
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