池内恵の中東通信
池内恵(いけうちさとし 東京大学教授)が、中東情勢とイスラーム教やその思想について日々少しずつ解説します。
米国を訪問中のムハンマド皇太子はワシントンDCからニューヨークに移り、主に企業関係の面会が報じられているが、ここでロイターのインタビューに答え、ロシアとの産油国間の長期的な同盟関係への意欲を示した。"Exclusive: OPEC, Russia consider 10- to 20-year oil allianc…
ムハンマド皇太子の19日からの訪米に合わせて、これを盛り上げようとするかの報道が、米国のメディアに多い。代表はCBSニュースの「60ミニッツ」での、ムハンマド皇太子側の主張を一方的に垂れ流す広報番組のようなインタビューである。"Saudi Arabia's heir to the throne ta…
サウジアラビアのムハンマド皇太子は、3月4日から22日にかけての「グランド・ツアー」の最初の目的地のエジプトで、各方面に向けて発言し、盛んに報じられたが、興味深いのは、トルコ批判の発言である。3月6日、ムハンマド皇太子はエジプトのメディアの編集長を集めた会見で、…
3月初頭から、サウジアラビアのムハンマド皇太子が、「グランド・ツアー」とも形容したくなるような、大規模な外遊に出ている。お忍びで国交のないイスラエルのテルアビブにいた、といったまことしやかな噂も以前に流れたムハンマド皇太子だが、公式の外遊は、昨年6月21日の皇…
エア・インディアのニューデリー・テルアビブ間の定期便が新規開設され、3月22日の午後6時、第一便がニューデリーを飛び立つとのことである。この便はサウジアラビア上空の通過を許可された模様で、イスラエル発着便がサウジの上空通過を許可されるのは初めてのことである。サ…
イスラエル政府は3月21日、2007年9月5−6日にかけて行われた、シリア・デリゾール付近の原子炉空爆を、初めて公式に認めた。イスラエルによるシリア原子炉空爆は、欧米の主要メディアで伝えられ、ブッシュ大統領の回顧録『決断の時(Decision Polint)』ですら言及されている…
サウジアラビア資本でUAEドバイを拠点とするアラビア語衛星放送局MBCが、3月2日から、系列チャンネルで、すべてのトルコ・ドラマの放送を停止しているという。"Saudi broadcaster MBC takes all Turkish TV shows off air," The National, March 4, 2018.これはサウジ・UAEと…
ダマスカス北西近郊に、イランのミサイル基地が構築されていることが新たに発覚したと、Fox Newsが2月28日に報じた。衛星写真を示し、イランの革命防衛隊傘下のクドス部隊が基地を運用していると主張している。"New satellite photos show Iran establishing another base in …
米トランプ政権が近くイスラエル・パレスチナの和平案を発表するとの観測が出ている。ニッキー・ヘイリー国連大使は、2月22日、シカゴ大学の政治研究所(Institute of Politics)で開催された公開フォーラムで講演し質疑に答え、トランプ大統領の娘婿のクシュナー上級顧問・中…
本日(2月23日)の夜8時から、ニコ生「国際政治ch」に出演します。番組では、ここ『フォーサイト』で行っているようなニュース解説を行いますが、今回は途中から、2月20日に新潮新書で『イスラム教の論理』を上梓した、イスラム法研究者の飯山陽(いいやま あかり)さんと対…
昨日夜に、サウジアラビアがエア・インディアのデリー・テルアビブ便に上空通過許可を出した、とするイスラエル・ハアレツ紙の報道を紹介しておいたが、直後にサウジアラビア政府がこの報道を否定している。ハアレツの記事のタイトルも、続報を受けてタイトルが差し替えられて…
エジプトの2011年の「1月25日革命」の映像アーカイブがインターネット上に公開された。【アーカイブへのリンク】チュニジアの政権崩壊に呼応し、「アラブの春」をアラブ世界全体に広げたエジプトの革命は、携帯電話のカメラなどによって、名もない一般の当事者によって、あら…
イスラエルのハアレツ紙によれば、サウジアラビアがインドのエア・インディアが開設するデリー・テルアビブ便に、サウジアラビアの上空通過を許可したという。これまでサウジアラビアはイスラエル発着の便に上空利用を許しておらず、初めてのケースになるという。"In Historic…
イエメンの内戦は構図が錯綜しており、現地の情勢も専門家以外には分かりにくい。昨日は英王立国際問題研究所(チャタム・ハウス)の専門家によるレポートやウェブサイトでのインタラクティブな地図を紹介したが、他にも欧米のいくつかの有力シンクタンクがイエメン分析に力を…
イエメン内戦の現状に関する英王立国際問題研究所(チャタム・ハウス)の専門家による詳細なレポート。Peter Salisbury, Yemen: National Chaos, Local Order, 20 December 2017. レポートの中には詳細な地図が含まれるが、その一部の要素をインタラクティブな地図にして提供…
前のエントリでは1914年のイエメンの地図を紹介したが、その後のイエメンの南北のそれぞれの発展(および1990年代の統一と現在の分裂)について、地図で解説したウェブサイトがある。Yemen: From the Independence Day to the Houthi Insurgency, edmaps.comこのサイトでは5…
イエメンへの軍事介入におけるサウジとUAEの足並みの乱れが、南部アデンに仮の政府を置いてきたハーディー政権と南部分離派との間の衝突に至ったことを記しておいたが、サウジとUAEは今でこそGCCの中でも主要な同盟国として一体化を進めているように見えるが、歴史的にはかな…
1月28日、イエメンの南部分離派勢力が、南部の中心都市アデンの、ハーディー政権が暫定的に拠点としている政府庁舎を、軍事衝突の末、占領した。政府庁舎を奪われた側のハーディー政権のビン・ダグル首相は、これをクーデタと非難した。これはイエメン内戦の新たな展開である…
中東の部屋に掲載した論考「対中東政策が日本外交の『6本目』の柱に」へのさらなる補足。余談として、日本では「リベラル派」から「ヒトラー」とまで罵られることのある安倍晋三首相が、リベラル国際秩序を理論化した著名な国際政治学者でプリンストン大学教授のジョン・アイ…
先ほどは今国会の冒頭の外交演説を取り上げたが、こういった首相や外相の演説は、1つ1つを取れば総花的に多くの課題に触れなければならないので、個々の部分はそれほど深く掘り下げたものではなく、正直に言って興味が湧くものは少ないが、長期間にわたって趨勢を見ていくと、…
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