大統領選に勝利した翌日の昨年12月20日、父親の朴正熙元韓国大統領が眠るソウルの国立墓地を訪れた朴槿恵氏 (C)AFP=時事
大統領選に勝利した翌日の昨年12月20日、父親の朴正熙元韓国大統領が眠るソウルの国立墓地を訪れた朴槿恵氏 (C)AFP=時事

「新年の辞」が経済強国建設とともに強調したのが韓国の朴槿恵(パク・クネ)次期政権への関係改善の呼び掛けだ。

「新年の辞」は「今年、全民族が団結し、民族あげての統一愛国闘争によって祖国統一の新たな局面を開かなければなりません」と強調し、「国の分裂に終止符を打ち、統一を実現するうえで提起される重要な問題は、北と南の対決状態を解消することです」と南北の対決解消を訴えた。さらに、2000年に金正日(キム・ジョンイル)総書記と金大中(キム・デジュン)大統領が署名した「6.15南北共同宣言」と、07年に金正日総書記と盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領が署名した「10.4宣言」の履行を求めた。

 昨年の新年共同社説が「民族の大国喪に背を向け、弔意表示をあらゆる面から妨害した南朝鮮逆賊一味の反人倫的・反民族的行為は全同胞の込み上げる怒りと糾弾を呼び起こした」と李明博(イ・ミョンバク)政権をこき下ろしたのと比べると大きな差だ。

 

朴槿恵次期政権の出方を牽制

 北朝鮮は、韓国の大統領選挙では与党・セヌリ党の朴槿恵候補を「維新の御姫さま」「独裁者の娘」と激しく非難し、野党・民主統合党の文在寅(ムン・ジェイン)候補を応援するような論調を維持してきた。しかし、朴槿恵候補が11月5日に北朝鮮に柔軟な内容を含む南北関係や外交分野の選挙公約を発表すると、直後は批判をしたが、その後、次第に実名非難が減るなど、批判のレベルを下げてきた。朴槿恵候補の当選の可能性を考慮し始めたともいえる。

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