人質事件の現場となった天然ガス関連施設の内部 (C)時事
人質事件の現場となった天然ガス関連施設の内部 (C)時事

 日本人10人を含む人質37人が死亡したアルジェリアの天然ガスプラント襲撃事件は、イスラム過激派が拠点を置く隣国マリ北部でフランス軍が軍事行動を開始した直後に発生した。犯行声明を出した「イスラム聖戦士血盟団」と称する過激派のリーダー、モフタール・ベルモフタールは、マリ北部への潜伏が疑われている。周知の通り、マリ北部は2012年4月、遊牧民トゥアレグ人主体の武装組織が一方的な「分離独立」を宣言して以降、イスラム過激派の拠点になってきた。

 他方、アルジェリアの東隣のリビアでは昨年9月、東部の都市ベンガジの米国領事館が襲撃され、米大使ら4人が殺害される事件があった。リビア、アルジェリア、マリにおける一連の出来事からは、2011年8月のリビアのカダフィ政権崩壊以降、北・西アフリカのサハラ砂漠とその周辺域の「サヘル」(サハラ砂漠周辺の半乾燥地帯)で、過激なイスラム武装勢力が活動を活発化している実態が浮かぶ。

 

過激派の活発化を的確に予測

 北・西アフリカ一帯におけるこうしたイスラム過激派の活発化を、2011年夏のカダフィ体制崩壊時点で的確に予測していたテロリズム研究の専門家がいる。ニューヨーク州立大学ビンガムトン校のリカルド・レネ・ラレモント教授(写真)である。

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