シャープ・奥田隆司社長は活路を開けるか (C)時事
シャープ・奥田隆司社長は活路を開けるか (C)時事

 シャープの迷走が続いている。経営危機の表面化した昨年3月に提携を発表した台湾の鴻海精密工業(ホンハイ)との出資交渉は難航、今年3月26日に期限切れとなり、白紙撤回された。鴻海は大阪・堺にシャープが建設した世界最大・最先端の液晶パネル生産子会社に出資し、液晶パネルの購入などではシャープとの関係を強化したが、シャープ本体との緊密化はきわめて困難になった。その中で、シャープが逆転技として繰り出したのが、韓国サムスン電子からの出資受け入れだった。出資比率3%、総額103億円と規模は大きくはないが、液晶パネルをめぐる積年のライバルとの資本提携はシャープという企業の針路を大きく変える可能性がある。

相次ぐ少額出資の狙い

  シャープは3月6日にサムスンから出資を受けると発表した。昨年12月のクアルコムからの100億円出資受け入れに続く資本増強策だが、クアルコムはシャープの動きに不信感を覚えたのか、現状では半分の50億円の払い込みしか完了していない。いずれにしても1兆1800億円強もの有利子負債を抱えるシャープにとっては100億円規模の出資をいくつ積み上げても資本増強の効果は薄い。昨年の鴻海との資本提携もシャープへの出資比率は9.9%でその時点での総額で700億円弱といった金額だった。シャープは今年9月に2000億円の転換社債の償還を迎える予定だが、資金手当のメドは立っておらず、みずほコーポレート銀行と三菱東京UFJ銀行による総額3800億円の協調融資スキーム(与信枠)も6月末に終わる。現状はきわめて厳しい。

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