イエメンの軍再編は最終段階に

執筆者:池内恵2013年4月12日

 この欄で継続的に伝えてきたイエメンの体制移行過程、特に政軍関係の再編だが【「サーレハ後」のイエメンはどうなっているか】【イエメンの軍再編は新体制への一里塚】、2012年8月と12月の再編に続く、締めくくりというべき動きが4月10日にあった。この日、イエメンのアブドラッボ・マンスール・ハーディー大統領が発出した大統領令により、ついにサーレハ前大統領の長男アハマドも更迭された。サーレハ前大統領親族による軍の同族支配を排除する動きの最終局面と言っていい。それだけでなく、手兵を率いてサーレハと袂を分って、政権崩壊への「功労者」となったアリー・モホセン少将も退任させた。

 イエメンが部族・地域を基盤とした群雄割拠的な行動をとる豪族的指導者たちによって支配される戦国時代的な時代から、武力を一元的に管理する集権的な近代国家の体裁を整えるかどうか、重要な画期となる。

 4月10日の大統領令では、アハマド・アリー・アブドッラー・サーレハ准将(Ahmed Ali Abdullah Saleh:サーレハ前大統領の長男で、世襲が予想されていた)を精鋭部隊の共和国防衛隊長から解任し、駐UAE大使に転出させた。

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