飛ぶ鳥を落とす楽天「三木谷浩史」の処世

執筆者:杜耕次2005年1月号

ベンチャー企業の成功者にしてプロ野球新球団のオーナー。現代を代表する若手経営者の人物像に迫る。 ファッションセンスそのものよりも、受賞者の話題性に重点を置いている感がある「ベストドレッサー賞」。十一月三十日に赤坂プリンスホテルで開かれた二〇〇四年の表彰式で、最も注目を集めたのは楽天社長、三木谷浩史(三九)だった。 ストライプが入った黒のスーツに白いシャツ、ノーネクタイで登場した三木谷は「プロ野球参入が決まるまでネクタイをしていたのですが、決まったので外してもいいかな」と会場の笑いを誘いながら、「仕事もファッションも直感で選ぶ」などと軽妙洒脱に語った。 九月のプロ野球参入表明以来、三木谷を取り巻く環境は劇的に変わった。スポーツ紙やテレビのワイドショーが一挙手一投足を追い、街を歩けば視線が集まる。新興企業の経営者というより、もはやタレントだ。 ビジネス面も順風満帆。十一月十一日に発表した楽天の第3四半期連結決算では、一―九月期の売上高が前年同期比二・六倍、営業利益が三・七倍に急拡大した。この数年来の相次ぐM&A(企業の合併・買収)の効果が表れ、球界参入で競り合ったライブドア社長の堀江貴文(三二)はもとより、いまやダイエー球団を買収したソフトバンク社長の孫正義(四七)さえ霞むほどの勢いだ。

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