ブッシュ政権を演出する男カール・ローブ

執筆者:ウェイン・スレーター2005年2月号

彼のOKなしには何事も始まらないと評される男。二期目のブッシュもその手中で踊る――。[オースティン発]再選が決まった翌日、ジョージ・W・ブッシュ大統領(五八)は、長年にわたる政治上の師、カール・ローブ(五四)に新たな愛称を捧げた――「設計者(The Architect)」だ。「創造主」の意も含むこの言葉は、勝利に酔った気まぐれから出たものではない。自らの目覚ましい躍進の裏には、その青写真を描いたローブの存在があったことを明確に示した感謝の言葉だった。 ローブの公式な肩書きは大統領上級顧問だが、実際の仕事内容はその枠に収まるものではない。十年以上前、テキサスの州知事選にブッシュを引っ張り出したのも、二〇〇〇年の大統領選挙、さらには二〇〇四年の再選選挙を勝ち抜く作戦を立てたのも、すべてローブだった。多くの有権者にとっては耳慣れぬ名だったが、ワシントン政界では手練れの戦略家として知られ、「ブッシュの頭脳」とも呼ばれている。 二〇〇一年九月十一日の米同時多発テロ事件から四カ月もしないうちに、ローブはブッシュ再選キャンペーンの軸となるテーマを決めていた。邪悪な敵に決然と立ち向かう強い「戦時大統領」というイメージだ。

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