ロシアのプーチン政権が日本企業狙い撃ちともいえる厳しい対応に出ている。 ロシアの国税当局は日本たばこ産業(JT)の現地法人に対し、二〇〇〇年分の追徴課税として、二十四億ルーブル(約八十九億円)の支払いを要求。JT側はこれを不服として提訴したが、政権の影響下にある裁判所に棄却されている。 ロシア紙によれば、〇一―〇四年分についても追徴課税が見込まれ、総額四百五十億円に上る見通し。プーチン政権が「ユコスに続く企業弾圧の矛先をJTに向けた」(業界筋)とまで言われている。 日本とドイツが争っていたモスクワ―サンクトペテルブルク間の新幹線計画でも、独シーメンスが日本勢優位の前評判をひっくり返して、約二千百億円で受注した。これはプーチン大統領がシュレーダー独首相との関係を重視した形だ。 東シベリアからの石油パイプライン計画でも、準同盟関係にある中国向けの支線を優先的に建設し、日本向け輸出用のルートは後回しとなりそう。日本は七十億ドルの資金援助を表明しているが、にもかかわらず、肝心の石油がなかなか回ってこない恐れが出てきた。 工場建設を決めたトヨタ自動車など、日本企業のロシア熱が高まりつつあるが、現状はこのありさま。両国の領土問題での対立が影響している可能性もあり、日本企業のロシア進出にはこれまで以上に注意が必要だ。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。