サウジがパキスタンから武器を買う理由

執筆者:ラムタヌ・マイトゥラ2005年3月号

 サウジアラビアとパキスタンが総額十二億ドルの軍事協定を結んだ。これにより、今後十年の間に、パキスタンはサウジアラビアに対し、航空機や戦車、装甲車や潜水艦を売却することになる。合意によれば、サウジアラビアは武器代金を石油で支払い、パキスタンの武器増産に必要な資金の一部も提供するという。 両国が武器取引に合意したのは二〇〇三年のことで、二〇〇四年秋に武器の供与が始まった。最初に提供されたのは、パキスタン・エアロノーティカル・コンプレックス社製のスーパー・マシャク練習機で、二十機(総額三千四百万ドル)がサウジアラビア空軍に納入される。第一陣の八機はすでに納入され、残る十二機も年内に売却される。 サウジアラビアは年間五十二億ドルにも及ぶ武器を主に米英から輸入する世界最大の兵器輸入国だが、十年にわたる計画とはいえ十二億ドルの契約は小さなものではない。それにしても、アメリカから武器を調達できるサウジアラビアが、なぜパキスタンから買うのか、疑問に思う向きもあるかもしれない。子細に見ると、それぞれの思惑が絡んだ三カ国の複雑な関係が見えてくる。 イランが脅威として再浮上するまでは、サウジアラビアにとってハイテク兵器をアメリカから輸入するために米議会を説得するのは容易なことではなかった。米議会にはアラブ諸国への不信感があるからだ。

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