LNG(液化天然ガス)調達の現場に、「二〇一一年問題」が迫っている。日本にとって最大のLNG供給国であるインドネシアとの長期契約が、二〇一〇年末から二〇一一年にかけて更新期を迎えるからだ。契約が切れるのは約千二百万トン分、日本の年間輸入量の五分の一に上る。 二〇〇九年にはオーストラリア、二〇一三年にはブルネイとの契約にも更新期がくる。「契約が切れる時に電力・ガス会社がどう動くか、可能な限り早く見極めたい」。手持ちのLNGタンカーをやり繰りしながらガス輸送を受託する大手船舶会社の幹部は、大口顧客である電力、ガス会社の思惑が気に掛かる様子だ。「強気」に出る輸出国 その思惑が読みにくいのは、これまで電力・ガス各社で連合を組むのが当たり前だったLNGの調達契約のあり方が、次第に変わってきたからだ。国内の規制緩和が進み出し、電力・ガスも横並びの経営は許されなくなった。少しでも安いガスを買うためには、時には他社を出し抜いて有利な契約を結ぶ必要がある。選ぶガス田についても、いつも一緒というわけにはいかなくなった。 足元の競争を考えれば、もう「オールジャパン」は組みにくい。ただ、別々に動くとかえって価格交渉力を失ってしまう可能性もある。LNGの調達現場に目を向ければ、日本の電気・ガス会社はいま、こんなジレンマに直面している。

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