ポーター・ゴス米中央情報局(CIA)長官(六六)は、半ばやけくそのように見えた。「私が求められている仕事は生身の人間には多すぎる。その仕事量にちょっと驚いた」「大統領に対する毎日のブリーフィングとその準備のために五時間もかかる。ブッシュ大統領は貪欲な情報の消費者だから」 三月二日、カリフォルニア州シミバレーにある「レーガン大統領図書館」で講演したゴス長官は自分の仕事をそう語った。 しかしその仕事は、ジョン・ネグロポンテ次期国家情報長官(DNI/六五)が議会承認されれば、大幅に縮小される。大統領への毎日の情報ブリーフィングはDNIがやる。全部で十五ある米情報機関を統括する任務はまさにDNIの仕事となる。 これから楽になるのだからぼやく必要などないのに、ゴス長官はさらに不安を口にした。「(DNIの創設で)曖昧な点が膨大に残された。私とネグロポンテの直接の関係がどうなるのかも分からない」 実はゴス、ネグロポンテの両氏は親しくはなかったようだが、エール大学で同級生だった。「私は彼を高く評価している。情報コミュニティは強化され、団結するだろう」と最後の一線で踏みとどまり、礼儀を保った。 今、米政府内でDNIは最も難しいポストと言える。

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