ブリュッセルで繰り広げられた米欧和解のディナー
2005年4月号
ブッシュ米大統領は再選後はじめての外遊に欧州を選び、二月二十一日から二十四日まで三カ国を歴訪した。最初の訪問地ブリュッセルでの夕食会からは、米欧首脳の並々ならぬ気の配りようが窺えたのである。 初日(二十一日)、ブッシュ大統領はシラク仏大統領を米大使公邸に招いて夕食を共にした。欧州各国首脳の中でもシラク大統領と最初の饗宴をもったのは、フランスがイラク戦争反対の最右翼だったことと無縁ではない。仏大統領との関係回復こそ米欧和解のカギだった。 〈料理〉 オマールエビのリゾット トリュフのソースで 牛肉のフィレ ボルドレーズソースで 野菜とフレンチフライ 〈飲み物〉 カリフォルニアワイン ボルドレーズはフランスのボルドー地方風との意味で、バターでエシャロットを炒め、赤ワインで煮詰めたソース。つけ合わせのフレンチフライはイラク戦争直前、米国がフランスに反発して「フリーダムフライ」と言い換えたいわくつきのもの。ワインは白、赤ともカリフォルニアで、ホストは米仏の料理のマリアージュ(結合)を通して「両国の協力の素晴らしさ」を示そうとしたのではないか。 この日の午後、ブッシュ大統領は興味深い演説を行なった。米欧提携の必要性に触れた中で、フランスのノーベル賞作家アルベール・カミュの「自由獲得は長距離競走である」という言葉を引いて「自由と民主主義は必要だが、外から押し付けることはできない」と述べたのだ。
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