大統領“直属”の駐日大使シーファーの実像

執筆者:ウェイン・スレーター2005年4月号

大リーグ球団「テキサス・レンジャーズ」を共同経営して以来、固い絆で結ばれた大統領と新大使。その着任は日本に何をもたらすか。[オースティン発]ブッシュ大統領がトーマス・シーファー(五七)を駐日大使に指名したのは、単に長年の友人で、昔のビジネスパートナーだったからではない。大統領は、自らを大金持ちにしてくれた最も大切な友人を日本大使に選んだのだ。 父親の後を追って石油ビジネスに入ったジョージ・W・ブッシュだったが、商売は失敗続きだった。ところが一九八九年、シーファーと組んだことで運命は好転する。ブッシュにとって唯一うまくいったビジネスは、大リーグ球団「テキサス・レンジャーズ」の経営だった。ジェネラル・パートナーのブッシュと共同出資者のシーファー、これが絶妙の組み合わせだったのだ。 ブッシュはレンジャーズの「顔」として、オーナー席には座らずに、いつも一般観客と共にスタンドに陣取って愛嬌を振りまいた。その陰で、レンジャーズを経済的成功に導いた“支配人”がシーファーだった。 ブッシュとシーファーはフィールドの美しい幾何学模様を見下ろす場所に隣り合ったオフィスを置いた。球団経営は順調で、これが未来の大統領にとっての跳躍台となる。

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