去る二月、二酸化炭素など温暖化ガスの排出削減を義務付けた京都議定書が発効した。日本は二〇〇八―二〇一二年までに、一九九〇年実績比で温暖化ガスを六%削減する義務を負う。国内の環境対策だけでの達成は難しいため、日本の産業界で注目を集めているのが、二〇〇〇年で三十億トン、二〇二〇年で六十億トンの二酸化炭素を排出すると予測される中国だ。 温暖化ガス削減余地が大きな中国でCDM(クリーン開発メカニズム)を上手く活用できるなら、日本企業に大きなメリットがある。CDMとは、途上国の排出削減に協力して「排出権」を取得すれば、それを自国の削減実績とみなせる制度。京都議定書で導入が認められた。 一方、京都議定書を批准はしているが、途上国扱いのため温暖化ガス削減義務のない中国でも、排出権取引は注目を集めている。昨年六月に中国で施行されたCDM法では「中国内で生み出された排出権は中国に帰属する」とされ、「排出権は中国の資源」であることが明確化された。これに従えば、例えばある日本企業が中国で環境設備を納入し、温暖化ガス削減に協力しても、相手の中国企業のほうに排出権が蓄積される。そして、その排出権の売り先を決めるのも中国側だ。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。