根本的立て直しを迫られる日本のODA戦略

執筆者:永井悠2005年5月号

ODAの量的拡大は日本が目指す国連安保理常任理事国入りの“条件”となる。だが適切な増額どころか、内向きの削減が続くのが現状だ。 二〇〇一年にそれまで十年間維持してきた最大援助国の座を米国に明け渡した日本のODA(政府開発援助)――。二十一世紀とともに曲がり角を迎えたODAが、今年に入って再び「第二の曲がり角」とも言うべき大きな転機に差し掛かっている。 きっかけは、日本外交の長年の悲願である国連安全保障理事会の常任理事国入り問題だった。外務省幹部が「最初で最後の現実的なチャンス」と興奮気味に語るほど、ここにきて安保理枠の拡大を柱とする国連改革の気運は急速に盛り上がっており、日本は同じく常任理事国入りを目指すドイツ、インド、ブラジルとともに「G4」と呼ばれるグループを結成、活発な多数派工作を展開している。その日本にとって常任理事国入りの事実上の「条件」となっているのが、開発途上国向けのODAの増額・拡大なのだ。 三月二十日、ニューヨーク。国連のアナン事務総長は国連創設六十周年に合わせて国連改革の指針となる「歴史的な勧告」(報告書)を発表し、最大の焦点である安保理の拡大について今年九月の国連特別首脳会合までに合意するよう加盟国に提言した。さらに勧告後の記者会見では「加盟国が常任理事国の六カ国増加(A案)で合意した場合、アジア地域の割り当て二カ国のうち一つはもちろん日本」と明言した。日本の常任理事国入りはにわかに現実味を増しており、その実現は手の届くところまで近づいていると言ってもいい。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。