インドネシアのユドヨノ政権が、「対テロ特別庁」を新設する。これまで国軍、国家警察、情報機関などが個別に実施してきたテロ関連の情報収集、テロ対策を「対テロ特別庁」に一元化して、より効率的なテロ対策を迅速にとるという。また、同庁の連絡窓口として各州政府内に「対テロ専門デスク」も発足させる。 イスラム過激派組織「ジェマア・イスラミア(JI)」などによるテロ関連事件は、このところやや収まっている。とはいえ、これはテロ対策の成果というより、JIが組織の再編や増員などに時間を割いていたせいであり、依然としてテロの危険度は高い。欧米諸国からは「テロ対策が不十分」との指摘を受けている。 経済再生が最重要課題であるユドヨノ政権にとって治安の安定は不可欠。「対テロ特別庁」の設置にもテロに厳しく臨む姿勢をアピールする狙いがある。 ただ、インドネシアでは軍関係者の関与が濃厚なテロ事件が多いのが実情。政府部内からは「対テロ特別庁から国軍に情報が流れれば、テロ対策はむしろ複雑になる。本当に必要なのは国軍から完全に独立した組織」との声が出ており、同庁が実質的に機能するのは難しいとの見方も根強い。

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