先月、ナイジェリアのグッドラック・ジョナサン大統領が中国を公式訪問した。首都アブジャやラゴスなど4つの空港の新ターミナル建設、水力発電所や鉄道の建設が約束されたほか、随行したナイジェリア人ビジネスマンたちが中国企業と商談を行なったようだ。ジョナサン大統領が北京で署名した新規融資は11億米ドルにのぼる。相変わらずの大盤振る舞いと見える。
 だが、訪中に先駆けてオコンジョイウェアラ財務大臣は「総計30億ドルの融資について中国側と協議する」といっていたのである。成約にいたったのはその3分の1ほどだから、ナイジェリアにしてみれば当てが外れたといったところだろう。

 ナイジェリアは、シェールガス革命の影響を直接被っている国である。シェールガス開発ではシェールオイルも産出されるが、これは硫黄分の少ない軽質油で、アフリカ産原油と競合する。アメリカはしたがって、2012年からアフリカからの原油輸入を減らしている。なかでも、最大輸入先だったナイジェリアからの調達は44%も減少した。今年に入ってからもアメリカの対ナイジェリア輸入は減り続けている。

 今回ジョナサン大統領はどうも、中国に原油を売り込みにいったらしい。中国は原油総輸入の4分の1をアフリカに依存しているが、その半分以上はアンゴラから調達していて、アフリカ最大の産油国ナイジェリアからの輸入は原油輸入総額の0.4%、アフリカからの輸入総額でも1.5%にすぎない。
 一方ナイジェリアは原油の多くをアメリカに輸出してきた。リーマンショック前の2007年は原油輸出の49%がアメリカ向けだった。ナイジェリアにとって原油輸出先の開拓、なかでも、アメリカを抜いて世界最大の原油輸入国になった中国への輸出拡大は、まさに生き残りを賭けたチャレンジだったはずだ。

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