何事かを成し遂げたと自己達成感に浸っている時、人や組織は足元をすくわれやすい。

 ドイツ脱原発のレールを敷いた90年連合・緑の党(以下、緑の党)はその実績を手に、着実に「第3の国民政党」への道を歩んでいるかに見えたが、22日の連邦議会(下院)選挙投票日を目前に、強い逆風に直面した。

 30年以上前、草創期の緑の党が地方選挙に際し、児童との性行為を刑事罰の対象にしない、という驚くべき政策を公約に盛り込み、それを今総選挙の共同筆頭候補であるユルゲン・トリッティン連邦議会院内総務(元環境相、59)が事実上支持していた過去が表面化したのだ。

 

 このスキャンダルは、脱原発の流れの中で環境保護政党としてもてはやされた緑の党のいわば「出生の秘密」に強い光を照射するものでもある。

 1980年に誕生した緑の党は98年、中道左派の社会民主党(SPD)と連立を組み、シュレーダー首相の下、初めて国政与党の座に就いた。2005年に野党に転じて以降は低迷期も迎えたが、11年3月の東京電力福島第一原発事故が強い“追い風”となって再び人気が急上昇した。一時は20%台後半の支持率を獲得し、SPDを凌駕して第2党に躍り出るまでになった。

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