両者の不仲はますます深刻になっている!? (C)時事
両者の不仲はますます深刻になっている!? (C)時事

 経団連会長の米倉弘昌(76)と首相の安倍晋三(59)の不仲は昨年12月の自民党政権復帰前から指摘されていたが、関係は修復されるどころか、その後一段と悪化しているとの観測が絶えない。最近では、任期切れが来春に迫った「財界総理」が、参院選大勝と東京五輪決定で勢いづく首相にまったく相手にされなくなっている。日本放送協会(NHK)経営委員をはじめ、政府が関与する要職人事で経団連の影響力はゼロ。ポスト米倉の次期会長人事も「官邸に近い人が選ばれる可能性が高い」(経済団体幹部)との声がもっぱらだ。「財界トップの人事権を永田町に渡して良いのか」と嘆くのは、現役を退いたOBの元幹部ばかり。求心力の欠如したトップを抱えた経団連のメルトダウンは危機的なレベルにまで進行している。

 

潰えた「財界復権」の仕組み

 10月23日、経団連は政党への「政策評価」を4年ぶりに復活させ、その結果を発表した。「政策評価」は2代前の経団連会長、奥田碩(80)が2004年に加盟企業への政治献金斡旋を再開した際、重要政策についての各政党の取り組みをチェックし、貢献度や達成度をA-Eの5段階で評価することにしたもの。企業にとって政治献金は「政府与党に見返りを求めれば贈賄になり、見返りを求めなければ経営者として背任行為になる」というジレンマがつきまとう。要は、「政財界の癒着」「自民党べったりの体質」と批判の多かった企業献金を「社会貢献の一環」と客観的に説明するために編み出されたのがこの「政策評価」だった。

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