「NHK経営委員人事」で露呈した経団連と安倍首相の「底深き溝」

執筆者:安西巧 2013年11月7日
タグ: 安倍晋三 日本
エリア: アジア
 両者の不仲はますます深刻になっている!? (C)時事
両者の不仲はますます深刻になっている!? (C)時事

 経団連会長の米倉弘昌(76)と首相の安倍晋三(59)の不仲は昨年12月の自民党政権復帰前から指摘されていたが、関係は修復されるどころか、その後一段と悪化しているとの観測が絶えない。最近では、任期切れが来春に迫った「財界総理」が、参院選大勝と東京五輪決定で勢いづく首相にまったく相手にされなくなっている。日本放送協会(NHK)経営委員をはじめ、政府が関与する要職人事で経団連の影響力はゼロ。ポスト米倉の次期会長人事も「官邸に近い人が選ばれる可能性が高い」(経済団体幹部)との声がもっぱらだ。「財界トップの人事権を永田町に渡して良いのか」と嘆くのは、現役を退いたOBの元幹部ばかり。求心力の欠如したトップを抱えた経団連のメルトダウンは危機的なレベルにまで進行している。

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執筆者プロフィール
安西巧(あんざいたくみ) ジャーナリスト 1959年福岡県北九州市生まれ。1983年早稲田大学政治経済学部政治学科卒、日本経済新聞社入社。主に企業取材の第一線で記者活動。広島支局長、編集委員などを歴任し、2024年フリーに。フォーサイトでは「杜耕次」のペンネームでも執筆。著書に『経団連 落日の財界総本山』『広島はすごい』『マツダとカープ 松田ファミリーの100年史』(以上、新潮社)、『さらば国策産業 電力改革450日の迷走』『ソニー&松下 失われたDNA』『西武争奪 資産2兆円をめぐる攻防』『歴史に学ぶ プロ野球16球団拡大構想』(以上、日本経済新聞出版)など。
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