経団連会長の米倉弘昌(76)と首相の安倍晋三(59)の不仲は昨年12月の自民党政権復帰前から指摘されていたが、関係は修復されるどころか、その後一段と悪化しているとの観測が絶えない。最近では、任期切れが来春に迫った「財界総理」が、参院選大勝と東京五輪決定で勢いづく首相にまったく相手にされなくなっている。日本放送協会(NHK)経営委員をはじめ、政府が関与する要職人事で経団連の影響力はゼロ。ポスト米倉の次期会長人事も「官邸に近い人が選ばれる可能性が高い」(経済団体幹部)との声がもっぱらだ。「財界トップの人事権を永田町に渡して良いのか」と嘆くのは、現役を退いたOBの元幹部ばかり。求心力の欠如したトップを抱えた経団連のメルトダウンは危機的なレベルにまで進行している。

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