突然の体調悪化に見舞われたアラファト・パレスチナ自治政府議長(右端)とスーハ夫人=2004年10月、パレスチナ自治区ラマラ (C)AFP=時事
突然の体調悪化に見舞われたアラファト・パレスチナ自治政府議長(右端)とスーハ夫人=2004年10月、パレスチナ自治区ラマラ (C)AFP=時事

 パレスチナ解放のカリスマ的指導者だったパレスチナ自治政府のヤセル・アラファト議長が2004年11月11日に不審の死を遂げてから9年がたった。

 スイス・ローザンヌ大学法医学センターは、カタールの国際テレビ局アルジャジーラの依頼を受けて、昨年墓場から掘り返された議長の遺体から組織20検体を採取して調査(記事末尾の写真参照)。その結果、故アラファト議長の死因は放射性物質ポロニウム210の投与が原因であることが「中程度の」信頼度で証明された、とアルジャジーラが報じた。

 肋骨や骨盤から「通常の18倍のポロニウムが検出され」、ポロニウム中毒を起こした確率は83%だったというのだ。

 ポロニウム210と言えば2006年、英国に政治亡命した元ロシア情報機関、連邦保安局(FSB)の元中佐アレクサンドル・リトビネンコ氏がロンドンでロシアの刺客に投与されたのと同じ猛毒物質である。

 議長のスーハ未亡人は「政治的暗殺」と断定する。しかし、そもそも誰がどんな目的でアラファト氏をあえて希少な物質ポロニウムで殺害したのか、断定できる証拠は全くない。

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