12月18日、一部の米主要メディアは、ゲイリー・ロック駐中国米国大使の後任に穏健派民主党大物政治家のマックス・ボーカス上院議員(モンタナ州)を指名する方針をホワイトハウスが固めたと報道した。ホワイトハウスは現時点ではボーカス氏の次期駐中国大使指名を正式発表していないが、遅くとも年明けには正式発表を行なうと見られている。ボーカス氏自身も側近らに対してはその事実を認めたと報じられている。今年4月下旬に2014年中間選挙への不出馬表明を行なった際、ボーカス氏は今後上院財政委員会の委員長としての立法上の業績に集中、専念していく意向を明確にしていた(2013年5月8日「ボーカス上院議員『不出馬表明』で挑む『税制改正』の中身」参照)。そのため、筆者にとっても今回の駐中国大使転身という展開は、正に「青天の霹靂」であった。

 

 ボーカス氏は1978年から上院議員であり、サッド・コクラン(共和党、ミシシッピ州)、パトリック・リーヒー(民主党、ヴァーモント州)に次いで、現職の上院議員としては3番目に在職期間が長いベテラン政治家である。しかも、ボーカス氏は2006年中間選挙で民主党が上院でも多数党の立場に復帰した第110議会(2007年1月-2009年1月)から現在の第113議会第1会期まで、歳出・税制・通商などの案件を管轄し、非常に強大な権限を持つ常任委員会として知られている上院財政委員会の委員長の要職にある。ボーカス氏は改選期を迎える2014年11月の中間選挙には7選を目指さず、2015年1月の任期満了をもって政界を引退する意向を今年4月に表明していた。ところが、駐中国大使就任により任期満了前の辞任が確実視されるようになったことから、次期上院財政委員会委員長ポストやモンタナ州選出連邦上院議員の後任選びといった動きが急遽浮上することになった。本稿ではボーカス氏が次期駐中国大使に指名、承認された場合の各方面への少なからぬインパクトに焦点を当てたい。

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