”原子力ムラ”の象徴だった勝俣前東電会長は今も影響力を保っている (C)=時事
”原子力ムラ”の象徴だった勝俣前東電会長は今も影響力を保っている (C)=時事

 東京電力福島第1原子力発電所の3つの原子炉が次々にメルトダウン(炉心溶融)してから、まだ3年も経っていない。にもかかわらず、権威も信用も地に落ちたはずの“原子力ムラ”が復権しつつある。3.11後の民意を反映して定めたはずの前政権の「原発ゼロ」方針はいとも簡単に覆され、巨額の資金を浪費しながらも実現性に乏しい核燃料サイクル政策までもが息を吹き返しつつある。倫理性ばかりでなく経済合理性も実証できない「原発回帰」路線は、規制緩和を唱えてはいるものの逆に既得権益の擁護ばかりに熱心な安倍晋三首相(59)率いる現政権の偽善性を如実に表している。

 

元経産官僚の自説

 12月13日、政府は民主党政権時代の「原発ゼロ」に訣別する新たな「エネルギー基本計画」案をとりまとめた。原発を「重要なベース電源」と位置づけ、「必要とされる規模を確保」と盛り込んだ計画案について、経済産業相の諮問機関である総合資源エネルギー調査会の基本政策分科会(会長=三村明夫・新日鉄住金相談役)は同日の会合で、「重要なベース電源」の前に「基盤となる」とのフレーズを付け加え、原発の必要性を一段と強調する内容に一部修正を加えた。

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