東電「株価」つり上げを目論む「原子力ムラ」の許されざる欺瞞

執筆者:安西巧 2013年12月30日
タグ: 安倍晋三 日本
エリア: アジア
 ”原子力ムラ”の象徴だった勝俣前東電会長は今も影響力を保っている (C)=時事
”原子力ムラ”の象徴だった勝俣前東電会長は今も影響力を保っている (C)=時事

 東京電力福島第1原子力発電所の3つの原子炉が次々にメルトダウン(炉心溶融)してから、まだ3年も経っていない。にもかかわらず、権威も信用も地に落ちたはずの“原子力ムラ”が復権しつつある。3.11後の民意を反映して定めたはずの前政権の「原発ゼロ」方針はいとも簡単に覆され、巨額の資金を浪費しながらも実現性に乏しい核燃料サイクル政策までもが息を吹き返しつつある。倫理性ばかりでなく経済合理性も実証できない「原発回帰」路線は、規制緩和を唱えてはいるものの逆に既得権益の擁護ばかりに熱心な安倍晋三首相(59)率いる現政権の偽善性を如実に表している。

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執筆者プロフィール
安西巧(あんざいたくみ) ジャーナリスト 1959年福岡県北九州市生まれ。1983年早稲田大学政治経済学部政治学科卒、日本経済新聞社入社。主に企業取材の第一線で記者活動。広島支局長、編集委員などを歴任し、2024年フリーに。フォーサイトでは「杜耕次」のペンネームでも執筆。著書に『経団連 落日の財界総本山』『広島はすごい』『マツダとカープ 松田ファミリーの100年史』(以上、新潮社)、『さらば国策産業 電力改革450日の迷走』『ソニー&松下 失われたDNA』『西武争奪 資産2兆円をめぐる攻防』『歴史に学ぶ プロ野球16球団拡大構想』(以上、日本経済新聞出版)など。
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