CIA対チェィニー「最終戦争」リーク合戦から浮かび出る真実
2006年1月号
日本では米中央情報局(CIA)長官の公式の肩書が変わったことはあまり知られていない。情報機関改革法の成立以前は、正式には中央情報長官(DCI)と呼ばれていた。しかし、今の肩書はDCIAである。Dは長官のDだ。 DCIは形式的には、全部で十五ある米国の情報機関すべてを束ねていたが、それに代わって国家情報長官(DNI)が登場したため、CIAだけを率いるCIA長官に“成り下がった”というわけだ。毎朝の大統領への情報ブリーフィング(PDB)もDNIがやる。CIA長官は幅広い権限と大統領へのアクセスを同時に失ったのである。 CIAでは二〇〇四年テネット前長官が辞任してゴス長官が就任した後、ナンバー2、3を含め五人以上の上級幹部が退任、秘密工作部門の幹部らも次々に辞めた。旧フセイン・イラク政権の大量破壊兵器保有の有無をめぐる失敗などでCIAは形の上では責任を取った。 だが、政治的責任はまだ誰も取っていない。そんなCIA側の怒りが、起訴されたルイス・リビー前副大統領首席補佐官の背後から聞こえてきそうだ。 CIA工作員名漏洩事件は、実はCIAとチェイニー副大統領の“情報戦争”だった。 前補佐官の起訴状に、その断面が明記されていた。二〇〇三年六月二十三日、リビー氏は当時ニューヨーク・タイムズ紙のジュディス・ミラー記者に対し、CIAは「恣意的にリークする」とこぼしたというのだ。
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