政治にかかわる人種は権力の在りかに敏感だ。二〇〇五年九月の衆院選を経て、政権の構造が自民党圧勝の立役者・小泉純一郎首相を頂点とするピラミッド型組織に変化した今、最高権力者の胸の内を知り、その決断に影響を及ぼす力のある政治家は誰か。永田町の住人たちはかつてない真剣な眼差しで、首相に連なる「権力の司祭」に食い込みを図ろうと躍起になっている。 十二月八日夜、赤坂プリンスホテルで開かれた首相側近ナンバーワンの中川秀直自民党政調会長の議員在職二十五年を祝うパーティーの盛況ぶりは、そのことを如実に物語っていた。 景気回復が続いているとはいえ、まだまだ企業の財布の紐は堅い。当選四回の、ある自民党中堅議員が「大企業の総務部長に掛け合って、買ってもらえたのは二枚だけ」とこぼすように、一枚二万円のパーティー券を「千枚さばければ御の字」とも言われるご時世に、中川氏のパーティーは別世界の賑わいだった。政財官界の主だった顔ぶれが勢ぞろいし、出入り口には入場し切れない参加者が列をなした。後輩議員からは「(売り上げ枚数が)五千を超えているかもしれない」「いや、もっと多いんじゃないか」と羨む声が漏れた。 来賓あいさつも称賛に次ぐ称賛。公明党の神崎武法代表は「中川さんは今、時の人。輝いている。特に政調会長に就任されてからは、飛ばしに飛ばしている」と持ち上げた。「我々は息が切れそう。時には振り向き、後の者がどこまでついてくるのかよく確かめながら進んでほしい」と注文も付けたが、それがまた中川氏の勢いを参加者に印象付ける結果となった。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。