民主化勢力の弾圧を続け、東南アジア諸国連合(ASEAN)のお荷物扱いされてきたミャンマーの軍事政権に対して、よき理解者の立場をとってきたマレーシアが方針を転換。ミャンマー民主化への圧力をかけ始めている。 昨年十二月に首都クアラルンプールで開かれたASEAN外相会議で、マレーシアのサイドハミド外相がミャンマーに対し、突然の首都移転問題や自宅軟禁中の民主化指導者アウン・サン・スー・チーさんの解放を例に挙げながら「もっと情報公開を進めるべきだ」と注文。また、「ミャンマー問題がASEAN全体に大きな影響を与えている」とも発言。対ミャンマー政策の変化を明確に打ち出した。 これに呼応する形で、元来ミャンマー軍事政権に厳しい態度を取ってきたシンガポールのヨー外相が「ミャンマー問題がASEANの結束を後退させている」と発言。インドネシアのハッサン外相も「ASEANと他の国際機関などとの連携に深刻な影響を与えている」と語るなど、厳しい批判が相次いだ。 マレーシアがミャンマー軍事政権に対して強硬姿勢に転じた背景には、ASEANの盟主を自任していたマハティール前首相の後継者であるアブドラ現首相の意向がある。シンガポールやタイからASEANの主導権を取り返し、対欧米、対日、対中国でマレーシアが指導力を発揮するには、ミャンマー問題の解決が急務であり、そのためにはもはや“太陽”から“北風”に転じるほかないと判断したためとの観測が出ているのだ。

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