本田技研工業が住宅用の太陽電池事業に参入することを発表した。これに最も敏感に反応しているのが経営不振に喘ぐ三洋電機だ。 白物家電や半導体事業などの低迷が続いてきた三洋は、三井住友銀行や米ゴールドマン・サックス証券などを引き受け先として三千億円もの増資を実施し、財務面をテコ入れしているが、生き残りのカギを握るのは、「リストラだけでなく、他社にない戦略事業をどれだけ伸ばせるか」(大手証券アナリスト)。 そこで三洋は、得意とする電池事業でホンダとの提携を実現させ、「いずれは自動車向けの燃料電池の供給も手がける」(三洋電機幹部)との青写真を描いている。すでにハイブリッド車用の電池では両社は協力関係にある。ホンダ車向けに燃料電池も開発・生産することができれば、「量産効果が出て、燃料電池事業全体で価格競争力を得ることが可能」(同前)というわけだ。 もっとも、ライバルであるシャープや京セラなども太陽電池の生産を拡大している。自動車向けの電池供給も、電池事業を手がける各社に共通する戦略と言える。「シャープ、京セラなどは、ホンダだけでなくトヨタや日産などへも日参している」(大手自動車部品メーカー)という状態のなか、三洋がライバル会社を押しのけて青写真通りホンダとの提携にこぎつけるのは、決して容易なことではない。

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