「アメリカが言うように、民主的選挙を行なえば、モロッコからインドネシアまで(イスラム教国で)反米政権が誕生する」 昨年十一月に会った、パキスタン情報機関、三軍統合情報部(ISI)の元部長、ハミド・グル退役中将はそう断言した。グル氏はイスラム教原理主義者の元軍人だ。 彼の予言通りの結果が現実になろうとしている。最も顕著な例がパレスチナである。致命的なのは、ブッシュ米政権が秘密工作でテコ入れしたにもかかわらず、パレスチナ自治政府与党ファタハが惨敗したことだ。 ワシントン・ポスト紙によると、工作の主体となったのは、米国際開発局(AID)。AIDの活動の出発点は第二次世界大戦後のマーシャル・プランにさかのぼるが、正式の創設は一九六一年、ケネディ政権時代だ。マーシャル・プラン自体が、反共産主義秘密工作でもあった。AIDはベトナム戦争でも、米中央情報局(CIA)の工作に協力した。 AIDはパレスチナで、総額四億ドルに上る開発援助を展開している。上下水道や道路の土木工事、図書館建設などのプロジェクトは、完成後記念プレートに、パレスチナ自治政府の紋章と並んで、真ん中に握手をデザインしたAIDのロゴマークがはめ込まれた。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。