ウクライナのヤツェニュク首相は支援を求めたが…… (C)EPA=時事
ウクライナのヤツェニュク首相は支援を求めたが…… (C)EPA=時事

 旧ソ連帝国の失地回復(レコンキスタ)なのか。ウクライナ・クリミア半島併合へと向かうプーチン・ロシア大統領を指して、ドイツのメルケル首相は「まるで違う世界に生きている」とつぶやいた。ケリー米国務長官は「21世紀に19世紀の行動をとっている」と批判した。評論家づらはやめてほしい、とこの2人に対しては言いたい。

 手前勝手な「失地回復」に乗り出した核大国に、「唯一の超大国」も欧州の覇者も手をこまねく。国際社会も打つ手がない。だとすれば、尖閣諸島や南シナ海で中国が一歩踏み出したとき、どうなるか――。安倍晋三首相をはじめ、アジアのリーダーたちは不安を募らせているはずだ。

 グルジアとウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟希望に耳をふさぎ、ポーランドへのミサイル防衛配備を取りやめ、「リセット」と称して、東欧よりもロシアとの関係重視の姿勢を見せてきた。もう軍事力行使はご免だ、とシリア内戦解決もロシアに頼り切り、イラン核問題交渉も同様だ。そんなアメリカが送るシグナルを、プーチンは「当然のごとく、正確に読み取った」。ロシアが「勢力圏」を広げても良いとアメリカが認めている。ロシア孤立化策など長続きしない――。

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