新たな抵抗勢力を生んだ潮目の変化

執筆者:Foresight2006年3月号

 好天が一瞬にして荒天に変わる。陽だまりで昼寝をしていたはずが、気が付くと、雪山で凍死しかかっていたなどということが起こり得るのが政治の世界である。まさに、政界は一寸先は闇――。小泉純一郎首相は今、ほろ苦い思いでこの格言を噛みしめているに違いない。 一カ月前、首相はまだ得意の絶頂にあった。通常国会召集日一月二十日に行なった施政方針演説を、首相は自賛の言葉で始めている。「内閣総理大臣に就任して四年九カ月、(中略)批判が相次ぐ中、揺らぐことなく改革の方針を貫いてきた結果、日本経済は不良債権の処理目標を達成し、政府の財政出動に頼ることなく、民間主導の景気回復の道を歩んでいます。一度国会で否決された郵政民営化法案は『正論』であるとの国民の審判により成立を見ることになりました」 カエサルの名言「来た、見た、勝った」を連想させる鼻高々の勝利宣言だった。 片や野党第一党の民主党ではトップダウン型の強力なリーダーを目指す前原誠司代表への反発がさらに広がりを見せていた。前原氏に対抗し九月の代表選に出馬する意向を固めている小沢一郎前副代表は、前原氏を毛嫌いする旧社会党系グループのリーダー・横路孝弘衆院副議長の協力を取り付け、さらに菅直人元代表、鳩山由紀夫幹事長、旧民社党系各グループとの連携強化にも乗り出していた。

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