米議会で税制改正、通商案件などを管轄し、極めて強大な権限を持っている常任委員会は、「上院財政委員会」と「下院歳入委員会」である。米議会上下両院の数ある常任委員会の中でも両委員会は内政関連で広範な案件を管轄するため、両委員長ポストは最も重要な委員長ポストと見做されてきた。実際、過去の上院財政委員長には、1996年共和党大統領候補であったボブ・ドール(カンザス州)、1988年民主党副大統領候補であり、第1期クリントン政権で財務長官を務めたロイド・ベンツェン(テキサス州)、「上院の知性」として超党派の尊敬を集めたダニエル・パトリック・モイニハン(民主党、ニューヨーク州)、知日派のウィリアム・ロス(共和党、デラウェア州)らがいる。下院歳入委員長には14年間も委員長職にあったダン・ロステンコウスキー(民主党、イリノイ州第5区)やアフリカ系有力民主党議員のチャーリー・ランゲル(ニューヨーク州第13区)といった有力政治家が在任していた。

 昨年1月に招集された第113議会の上院財政委員長は、上院議員としては最も長期間同委員会に在籍していたマックス・ボーカス上院議員(民主党、モンタナ州)が務めていたが、同氏はゲイリー・ロック駐中国米国大使の後任として米議会上院本会議で今年2月6日に正式に指名承認され、3月に北京に着任した。後任には上院エネルギー・天然資源委員会のロン・ワイデン委員長(民主党、オレゴン州)が横滑りしている。そして、今回、もう1つの重要な常任委員会の委員長ポストである下院歳入委員長についても、現在委員長を務めているデイブ・キャンプ下院議員(共和党、ミシガン州第4区)が今会期限りで議員辞職する意向を3月31日に正式に明らかにした。米議会でとりわけ重要なポストである上院財政委員長は会期途中に辞任、下院歳入委員長は今期限りで辞職する方針を明らかにする異例の事態となった。

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