米国から見た朝鮮半島情勢(中)統一への展望

執筆者:武内宏樹2014年4月20日

 前回に引き続いて、ブッシュ政権でアドバイザーを務めた、ジョージタウン大学教授のビクター・チャ氏へのインタビューをもとに朝鮮半島情勢を論じてみよう。今回は、この問題を論じるときに避けて通れない問題、朝鮮半島統一への展望を考えてみたい。

 チャ氏は、サザンメソジスト大学タワーセンター政治学研究所でのシンポジウムにおいて、朝鮮半島統一というのは、「現実的か」(practical?)と問われれば答えは「ノー」であり、「望ましいか」(desirable?)と問われれば答えは「イエス」であり、「ほかに選択肢があるか」(Any alternative?)と問われれば答えは「ノー」であると言明した。つまり、統一を目指すというのは多大な困難をともない非現実的であるが、ほかに選択肢がないと表明しているのである。「実現が極めて難しいことを実現するしか選択肢がない」というのは政策立案をする立場の人の発言としては少々無責任といえようが、この問題が直面するジレンマをよく表しているといえようか。

 

韓国による北朝鮮の吸収

 2月28日付『フォーサイト』掲載記事の中で、会田弘継氏が指摘しているのだが、今年2月に公表された国連調査委員会の報告書は想像を絶する北朝鮮の人権問題の深刻さを明らかにしている(「国際論壇レビュー 日本では報じられない『北朝鮮の非道』『中国海軍力の脅威』」参照)。

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