米国から見た朝鮮半島情勢(上)「金正恩体制」をどう見るか

執筆者:武内宏樹 2014年4月13日
エリア: 北米 アジア

 言うまでもなく、朝鮮半島は地理的に日本から非常に近いが、米国からは遠い。日本人にとって韓国は最も近しい外国であるのに対して、北朝鮮は政治的理由の故に心理的には遠い国である。米国から遠い朝鮮半島の両国は、一方は同盟国であり、他方は敵国である。北朝鮮は新参の核保有国として地域に脅威を振りまき、米国にとって、その閉鎖的な政治体制と相まって「差し迫った脅威」(imminent threat)として認識されている。中国の台頭が長期的な問題として認識されていることとは対照的である。

 シンポジウムに参加したビクター・チャ氏(中央)
シンポジウムに参加したビクター・チャ氏(中央)

 2月24日に、筆者が所属するサザンメソジスト大学タワーセンターで、「米国と朝鮮半島―未来への展望」(U.S., South & North Korea: What the Future Holds)と題するシンポジウムが行われた。その折にスピーカーの1人として、ジョージ・W・ブッシュ政権で朝鮮半島情勢のアドバイザーを務めたジョージタウン大学教授のビクター・チャ氏がダラスを訪れた。彼にインタビューする機会を得たので、3回にわたって米国から見た朝鮮半島情勢を報告したい。1回目は北朝鮮問題である。

カテゴリ: 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
武内宏樹(たけうちひろき) サザンメソジスト大学(SMU)政治学部准教授、同大学タワーセンター政治学研究所サン・アンド・スター日本・東アジアプログラム部長。1973年生れ。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)博士課程修了、博士(政治学)。UCLA 政治学部講師、スタンフォード大学公共政策プログラム講師を経て、2008年よりSMUアシスタント・プロフェッサーを務め、2014年より現職。著書に『党国体制の現在―変容する社会と中国共産党の適応』(共編著、慶應義塾大学出版会、2012年)、Tax Reform in Rural China: Revenue, Resistance, Authoritarian Rule (ケンブリッジ大学出版会、2014年)。ほかに、International Relations of the Asia-Pacific、Japanese Journal of Political Science、Journal of Chinese Political Science、Journal of Contemporary China、Journal of East Asian Studies、Modern Chinaなどに英語論文を掲載。専門は、中国政治、日本政治、東アジアの国際関係及び政治経済学。
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