複雑怪奇な「内閣府」「内閣官房」「首相官邸」より「首相府」を

執筆者:村上政俊 2017年8月31日
タグ: 安倍晋三
エリア: アジア
「首相官邸」(写真)に「内閣府」に「内閣官房」に……その違いは難しい

 

 森友・加計問題で大騒ぎの頃に、「首相官邸」とともに「内閣府」や「内閣官房」という言葉がメディアに頻繁に登場した。しかしこの3つの違いを正しく理解している人は、伝えていたメディア側にもほとんどいなかったのではないか。一般読者や視聴者ならなおさらだ。それもそのはずで、実はこれらの違いがわかる官僚ですら意外と少ないのである。

ゴミ箱のように扱われる「内閣府」

 内閣府は、旧総理府を母体としながら首相の指導力強化を目指した、いわゆる橋本行革(橋本龍太郎が首相時に推進した省庁再編)を機に誕生した。理想を言えば、通常の業務は各省庁が担当し、内閣官房や内閣府は戦略策定や省庁間の総合調整に専念するということになろう。だが理想と現実が異なるのは世の常で、内閣府の業務は肥大化の一途を辿っている。それもマイナスの方向性に。

カテゴリ: 政治 社会
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執筆者プロフィール
村上政俊(むらかみまさとし) 1983年7月7日、大阪市生まれ。現在、同志社大学嘱託講師、同大学南シナ海研究センター嘱託研究員、皇學館大学非常勤講師、桜美林大学客員研究員を務める。東京大学法学部政治コース卒業。2008年4月外務省入省。第三国際情報官室、在中国大使館外交官補(北京大学国際関係学院留学)、在英国大使館外交官補(ロンドン大学LSE留学)勤務で、中国情勢分析や日中韓首脳会議に携わる。12年12月~14年11月衆議院議員。中央大学大学院客員教授を経て現職。著書に『最後は孤立して自壊する中国 2017年習近平の中国 』(石平氏との共著、ワック)。
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