名門・ハーバード大学も揺れている (C)AFP=時事
名門・ハーバード大学も揺れている (C)AFP=時事

 STAP細胞の論文不正騒動では、4月9日の小保方晴子氏に続き、16日には、上司であり論文の主要共著者の1人でもある理化学研究所発生・再生科学総合研究センターの笹井芳樹副センター長も会見しました。笹井氏をはじめ、ほとんどの共著者はすでに論文の撤回に同意しています。が、肝心の小保方氏自身と、主要共著者の1人であるハーバード大学のチャールズ・バカンティ教授が、現在も撤回には同意していません。しかも、小保方氏は理研の「捏造、研究不正があった」との調査結果に不服申し立てをしており、この問題に決着がつくにはまだ時間がかかりそうです。

 そんな中、実は目下、ハーバード大学では、内部で、極めて重大な「論文不正、撤回」問題が起きています。現在進行形の問題ですが、その経緯を辿り、当事者や大学側の対応を見ることは、STAP騒動の今後にも何らかの参考になるかもしれません。

 

常識を覆す発見

 2009年、ノーベル賞生理学医学部門の選考委員会があるスウェーデンの『カロリンスカ研究所』のジョナス•フライゼン教授らのチームが、画期的な研究結果を発表しました。その内容とは、25歳で人間の心筋細胞は1年に約1%再生する、その再生能力は加齢とともに低下し、75歳では1年に約0.45%となる、というものでした。従来、心臓の筋肉は再生する能力をまったく持っていないと考えられていたため、この報告には世界中の研究者が驚きました。しかも、従来の生命科学の常識を根底から覆すこの発見は、他の研究室で再現性が確認されたのです。

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