韓国が国連事務総長ポストを狙う理由

執筆者:黒田勝弘2006年5月号

選出の可能性は低いとされながら潘基文氏が出馬。そこに盧武鉉政権の思惑が見えてくる。[ソウル発]韓国の潘基文外交通商相(六一)が、国連の次期事務総長候補として出馬を公式表明した。 アナン現事務総長の任期が年末で切れるため、この秋には後任を選出しなければならない。国連事務総長は国連の顔といっていい。時には国際政治のスターになることもある。そんなポストに韓国が挑戦しているのだ。 韓国は近年、何かというと“韓流”といって意気軒高である。ナショナリズム、愛国主義は相変わらず目につく。テレビドラマやゴルフなどに続き、先の国際野球イベントWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)でも、韓国チームが活躍するとさっそく「世界の野球でも韓流!」などとはしゃいでいた。そのうち「国連も韓流!」といいかねない雰囲気だ。 国連事務総長への意欲もそんな韓国流イケイケドンドンを感じさせるが、はたして韓国人の国連事務総長は誕生するのか。 しかし韓国内でもプロの外交通ほど可能性については否定的だ。「常識破壊の盧武鉉政権がまた身のほど知らずをやっている」というのだ。ただ外交筋の間では「それでも出馬したのだから何か秘策があるのかも知れない」と、真意を探るのに懸命だ。韓国はソウル・オリンピック誘致やサッカーW杯での日韓共催ごり押し(?)など国際舞台での裏工作と推進力には定評がある。

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