中国の胡錦濤国家主席が四月十八日から二十一日まで米国を訪問し、ブッシュ米大統領と首脳会談を行なった。この首脳会談はもともとは昨年九月に予定されていたが、ハリケーン「カトリーナ」被害と重なったため米側の要請で延期され、今回はその仕切り直しだった。 ただ当初から、訪問の性格について米中間の認識は食い違っていた。中国が国賓訪問にこだわったのに対し、ブッシュ大統領はテキサス州クロフォードにある私邸兼牧場での会談を望んだ。米中間の政治、経済、安全保障をめぐる数々の懸案について、サシでじっくり話し合いたいと考えたからだ。しかし守勢に立たされるのを嫌った胡主席はこれを拒否した。 米国はホワイトハウスでの会談には同意したが、国賓訪問ではなく公式訪問と位置づけた。国賓訪問は最高の儀礼と尊敬をもって外国元首を歓迎する儀式性の強い訪問だが、国賓訪問とするには米中は懸案を抱えすぎていると米国は考えた。 しかし中国はクリントン大統領時代の一九九七年、江沢民主席が国賓訪問したことを盾にこだわった。米国に国賓として迎えられることで存在感を高めたい思惑もあっただろう。結局、中国は国賓訪問と呼び、米国は公式訪問と称し、それぞれ都合よく解釈することで落ち着いた。

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