饗宴外交の舞台裏 (101)

曖昧な関係を象徴した米中“懸案棚上げ”のランチ

執筆者:西川恵 2006年6月号
タグ: 中国 台湾
エリア: 北米 アジア

 中国の胡錦濤国家主席が四月十八日から二十一日まで米国を訪問し、ブッシュ米大統領と首脳会談を行なった。この首脳会談はもともとは昨年九月に予定されていたが、ハリケーン「カトリーナ」被害と重なったため米側の要請で延期され、今回はその仕切り直しだった。 ただ当初から、訪問の性格について米中間の認識は食い違っていた。中国が国賓訪問にこだわったのに対し、ブッシュ大統領はテキサス州クロフォードにある私邸兼牧場での会談を望んだ。米中間の政治、経済、安全保障をめぐる数々の懸案について、サシでじっくり話し合いたいと考えたからだ。しかし守勢に立たされるのを嫌った胡主席はこれを拒否した。

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執筆者プロフィール
西川恵(にしかわめぐみ) 毎日新聞客員編集委員。日本交通文化協会常任理事。1947年長崎県生れ。テヘラン、パリ、ローマの各支局長、外信部長、専門編集委員を経て、2014年から客員編集委員。2009年、フランス国家功労勲章シュヴァリエ受章。著書に『皇室はなぜ世界で尊敬されるのか』(新潮新書)、『エリゼ宮の食卓』(新潮社、サントリー学芸賞)、『ワインと外交』(新潮新書)、『饗宴外交 ワインと料理で世界はまわる』(世界文化社)、『知られざる皇室外交』(角川書店)、『国際政治のゼロ年代』(毎日新聞社)、訳書に『超大国アメリカの文化力』(岩波書店、共訳)などがある。
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